2012年7月5日木曜日

馬瀬地方自然公園づくり委員会

山村づくり講座の授業で下呂市馬瀬地区の「馬瀬地方自然公園」を訪れました。

「地方自然公園」とは日本の公園法に定められた公園ではなく、フランスで約40年
前から展開されている住民主体の自然公園制度です。国と地方自治体が権限を分有
し、村で世襲された自然景観を保護しつつ、住民生活の向上にも資するための「公
園憲章」を12年ごとに定めています。「馬瀬村地方自然公園づくり委員会」はフラ
ンスの制度を参考に平成16年3月に任意団体として設立、同4月の広域合併後も、馬
瀬村の美しい村落景観や自然環境を保全するためにユニークな取り組みを種々展開
してきました。

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馬瀬川といえば釣り好きには有名な川で、鮎の味コンクール日本一に輝いたことも
ある清流です。馬瀬村では、森・川・農地・人が形成している自然生態系を「馬瀬
川エコリバーシステム」と名付け、その持続的発展のために6つのプロジェクトを
計画し、地方自然公園づくり委員会がそれらを推進しています。

馬瀬地方自然公園づくり委員会の委員長Kさんと、事務局長のMさんにご案内いただ
きながら、その取り組みの様子を見学しました。印象に残ったいくつかを写真と共
に紹介します。

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1)「日本で最も美しい村連合」への加盟(全国1万人以下の農山村が自主的に連合)
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2)魚付き保全林の指定(広葉樹林の保護、村の森林面積の25%)
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3)馬瀬川フィッシングアカデミー(入門者から上級者まで鮎釣り指南、伝統漁の復活も計画)

4)川を見渡すビューポイント、サイン看板の設置、沿道修景など
(村のどこからでも馬瀬川が見おろせる、景観整備は美観だけでなく獣害対策や路面凍結防止などのコスト削減効果もある)
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5)ウーキングコースづくり(「馬瀬の七里・十里めぐり」)

6)地区対抗「草刈りコンテスト」、地区毎の「住民ぐるみ獣害防御柵の設置」

7)農産物の直売・加工「さんまぜ工房」(日本で一番小さい道の駅を拠点に農業女性グループが活躍)
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最後に見学した、村最北部の川上(かおれ)地区は、すでに高齢化率が70%超。買物
や通院への交通不足、雪降しの困難に直面しています。一方で空いた区画に別荘建設
が進み、キャンプ場は賑わっているとか。地区の光と陰は分離したまま、近い将来には
住民層がすっぽり入れ替わる日が来るのかもしれません。人が手を入れる労力が失わ
れると景観は急速に荒れていく・・・そんな厳しい現実も垣間見ました。

(記 嵯峨創平)