森林文化アカデミーのものづくり講座には、「飛騨美濃の匠」という授業があります。岐阜県の伝統技術、工芸を体験する、見学するという内容で、毎年様々なものにチャレンジします。
今回、ものづくりの1年生達は「曲げわっぱ」に挑戦しました!全国各地に曲げわっぱの産地がありますが、高山の曲げわっぱはやはり飛騨春慶と相まって、とても美しいものになります。飛騨高山より曲げわっぱ職人である西田恵一さんをお招きして、丸型2つ、小判型1つの計3つ作るというとても贅沢な講習を受けました。
さて早速開始です。
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専用の治具で蓋になるパーツに曲げの癖付けをしているところ |
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丸い状態で固定 |
材料はヒノキで、西田さんが板にするところまでは準備して下さったので、それを加工する工程から始まります。曲げて重なる部分をカンナで削り、お湯のなかに小1時間ほどいれて柔らかくします。そして、曲げ専用の治具を使用して、ぐるりと回すと多少曲がりやすい癖がつきます。あとは、型にはめて丸くし、 専用の道具で固定していきます。これで、しっかりとした丸い形に木が固定されていくのです。固定している間は乾かすという意味もあり陽に当たるところに吊るしておきました。
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日の当たるところで干します |
その固定している時間を利用して、重なる部分を補強兼装飾する「かんば」といわれるものを作っていきます。これは山桜の樹皮をうすくスライスしたものです。まず外側の皮の部分を削り、そして2枚にわけます。それをひたすら小刀でしごいて薄くしていきます。
1日目はこれで終了。
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不慣れな作業は協力し合いながら |
2日目、 まるくなった板を膠で接着していきます。これがまた悪戦苦闘。気温が低かったこともあり、接着不良をおこすものがいくつか出てきました。
なんとか接着が終わったものから、昨日作ったかんばを編みこむ作業をしていきますが、これはひとそれぞれの好みのデザインで編んでいきます。
最後に底と蓋となる部材を切り抜き、きっちりハマるように調整し、完成となります。
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私のわっぱですが、なんとか3つできました |
今回は、とりあえず体験ということですが、これを仕事としてこなそうと思うと、各部材が狂いなく、ピッタシとならなければいけません。また1ロットで何十個と全く同じ物を作らなければいけないので、とてもシビアな作業になります。職人というのは本当にすごいなぁと感心させられました。
学生のみんなは四苦八苦しながらなんとか2日間で最低ひとつは完成 させましたが、来年初夏には漆の授業でこの曲げわっぱに漆を塗って仕上げます。それまでに今回完成できなかったものも終わらせておかないといけません。漆を塗ったらみんな曲げわっぱでお弁当デビューですね。
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講師の西田恵一さんを囲んで |
いろいろ苦労のあった2日間でしたが、非常に「楽しい」ものづくりを体験することができました。