第2回のテーマ、「農村起業のイロハと成功事例」について、まず、嵯峨准教授から、「農村カフェ」、「農村食堂」を中心に全国各地でのユニークで楽しい具体事例の紹介と、それぞれの成功に至るプロセスやポイント等について、講義を受けました。
また、午後のフィールドワークに向けた注意点等、説明がありました。
場所を変え、昼食をかねて、農村景観の美しい美濃市陽ヶ洞地区に2年前にオープンした、「古民家宿&カフェ 陽がほら」を訪ねました。
こだわりのカレー(通称 りんごカレー)と、デザート(卵の黄身と白身を別々に調理して一切無駄にしていない特製プリン)をいただきました。
食後に、店主であるUさんのお話を伺いました。嵯峨准教授が「聞き手」です。
Uさんは、淡路島出身の男性、都会でバリバリのサラリーマンをしていましたが、徐々に頑張れなくなったそうです。 当時、趣味で続けていたカヌーをしているときの幸せな感覚が心を占め、生き方を変えようと決心したそうです。 田舎でカヌーのできる場所を探していると、知人からこの家を紹介され、一目で惹きつけられました。 ご自身とカヌー仲間で大掃除をし終えたとき、この家がUさんを迎え入れてくれたように感じたそうです。
活発な質疑が交わされるなか、Uさん最後のコメントをご紹介します。
「いままでずっと、この店をご自分一人で回せるようになることがゴールであったはずなのですが、昨年の夏、入院するケガをきっかけにして、仲間のありがたさや、みんなで店を回す楽しさを発見してしまった。 今は、この店を次の人に任せて、自分は次の新たな風景を見たいと思うようになった。」
肌に心地よい森から吹く風が私たちの心を癒してくれた至福のひとときでした。
午後は場所を移動し、いよいよ本番のカフェ廻りです。 美濃市の伝統的建築物群保存地区(伝建地区)の中には、うだつの町並みに溶け込んだ新旧のカフェ/食堂が点在しています。それぞれに個性的で魅力的な店主がいます。
今回の実習では、地元学の手法を応用した「5つの質問」インタビュー・シートを携えて、参加者がそれぞれ好みの店を訪ねて、お店を始めた経緯やこだわりの商品などについて質問をして、カフェと地域との関わりを学びました。
おりしも当日は、IAMAS(岐阜県立情報科学芸術大学院大学)が開設した「美濃の家」のオープニング・イベントもやっていました。森林文化アカデミーの教員・学生も協力していて、ミニFM局の放送やアート展示などで、賑わっていました。
オプションで、別グループが関市洞戸の薬膳カフェ「鑑真康寿堂」を訪ねました。
短時間の訪問でしたが、若きイケメン店主のNさんが、終始親切に熱心に話をお聞かせくださいました。 中国茶の美味しさに皆びっくり、さらに、その日の天候にあわせて味付けを調整するという特製の生姜ゼリーまでご馳走になってしまいました。
Nさんのお父上が薬局を経営され、この店はNさんが任されています。薬膳料理の調理だけではなく、薬草の管理、料理の指導から、講演まで、幅広くこなされている方です。
ありがとうございました。
アカデミーに戻り、それぞれカフェ巡りの成果を発表し共有しました。
全体を振り返り、感想をいただいた後、嵯峨准教授がまとめ、2回連続講座を終了しました。
皆さんおつかれさまでした。
以上報告 山村づくり講座教員 原島幹典