7月20日に山村づくり講座1年生の「エコミュージアム概論」と2年生の「文化的景観論」の合同授業で合掌集落がある白川村へ行きました。
到着してまず向かったのが荻町のはじにある展望台。集落を上から眺めながら解説を聞きました。国道沿いに並んでいる合掌家屋の多くが他の場所から移築されたもので、明治中期までは主に田んぼでした。展望台からの景色も100年程で大きく変わったのだろうなと思いました。
白川村役場へ移動してIさんに白川村の概要や観光と文化遺産保存の課題など貴重なお話を聞くことができました。ありがとうございました。
昔は交通の便が悪くて泊まらないと来られない場所だったのが、最近のバスツアーは1時間ほどしか滞在しないのでもっと長く滞在したいという気持ちを引き出したいことや、そもそも白川村の民宿で泊まれることが知られていないこと、他にもアジアからの観光客が増えていること、白川村らしいお土産がないから白川の人が地元のものを使ってできたものをお土産にして売りたいことなど、たくさんのお話をしていただきました。
再び展望台へ移動して昼食休憩をとってから荻町の中へ入っていきました。
屋根の葺き替えに必要な茅を貯蔵するために円柱形に積み上げたものを「ニュウ」と呼びます。今では「ニュウ」を作らずに各家の倉庫や茅専用の共同倉庫に保管されるようになっています。
家々の間をぬうように水路が通っています。よく晴れて暑かったですが、悠然と泳いでいる魚を見ているとちょっと涼しい気分になりました。
町の中に湧水がでている「シュウズ」があります。観光客がたくさん歩いている道のそばで湧き水の出るところが何か所もあると聞いてびっくりしました。
上の水路には間隔を空けて取水口があり、そこから写真のような水路で集落の中に透明度の高い水が流れていました。水路に入っている黒いホースは、各家庭に配水するためのものです。
写真の唐臼小屋もため池の横では本来の仕事ができないですが、個人的には使われないまま壊れていくよりは今ある形を残していってほしいです。
荻町の景観は合掌家屋の周辺にあるものの影響も大きいはずですが、仮に荻町の住民が生活を便利にするために変えたいと言ったときに何をどこまで残すのか判断する基準は今のところありません。
屋根の葺き替えだけで莫大な費用がかかる中『保存対象ではない部分をどのように残すのか』授業に参加した学生はレポート課題として考えているところです。このブログを読んでくださっている方も一度『どうしたら観光と生活を両立して魅力的な白川郷になるか』考えて頂けたらと思います。
報告 山村づくり講座1年 伊藤恵美
投稿 山村づくり講座教員 嵯峨創平