森林文化アカデミーのJIRIです。今回、平成25年度「施業プランナー技術維持研修」の第2回目
を開催しました。
題目は「ITを活用した路網開設にかかる評価」として、岐阜県森林研究所の古川部長研究員さ
んと、臼田専門研究員さんに講師をお願いして、路網評価におけるアナログツールの活用から
デジタルツールの活用について、ご指導頂きました。
森林作業システムと路網は切っても切り離せない関係にあるが、路網の評価には地形の数値化
が必要となります。
施業地の平均傾斜、高いところと低いところの差をあらわす起伏量、谷の密度など、地形指数による量的把握が重要。
平均傾斜の把握には、寺田法や方眼法、ホートン法などがありますが、今回は寺田法とホートン
法を合わせたような手法で実施。
上の写真は1/50,000の地形図を見た場合の想定です。
これが見慣れた森林計画図(施業図)ならば1/5,000なので、平均傾斜の求め方は異なります。
1/5,000の平均傾斜 Ii=(N×h)/(4×r)、N:円周と交わる等高線数、h:等高線間隔、r:半径
アナログな手法で地形指数 I を求めて、緩、中、急、急峻にランク分けします。
下の写真のように半径5mmと10mmの二重円定規をつかって、等高線との「交点」を数えます。
これが相当大変な作業、・・・・時間がどんどん過ぎて行く!
施業団地の面積を求め、谷の数を数え、谷密度を計算して、地形指数を求めます。
手で計算すると本当に大変。・・・これでは、仕事になりません。
さてさて、お次は「路網配置と平均集材距離」についてです。
路網計画では、
「平均集材距離を小さくする路線計画」が重要だよね!
平均集材距離という考え方、重要なのになかなか普及しない。・・・なんで!
①手作業での算出に手間がかかる。
②コンピュータではプログラミングが必要。
③GISを利用するには、精度や普及率などのハードルもある。加えて、GISソフトは平均集材距離
を計測できるような機能を有していない。
岐阜県森林研究所には、岐阜県下各地の斜面の傾斜分布も完備しており、これも利用して
対象林分のデータを駆使すれば、なんとかなるかも?
ちなみに点格子法によって、平均集材距離を推定してみましたが、みな大変な作業にウンザリ。
基本を学ぶためには、アナログな解析の経験も重要。
各自が一生懸命に計算していきます。
さて、アナログ手法で苦労した後は、路網計画支援ツールで入力してみると、なんと一瞬で
路網からの平均集材距離が計算され 、図化されました。
また、数値化したものを表示させることも、いとも簡単!
この路網計画支援ツールは森林研究所の古川部長と、東京農工大学の松本先生によるソフト
です。
まだ開発途中とのことですが、森林所有者に説明するツールの一つとして、利用価値のある
ソフトなのです。
さて、技術維持研修ご参加のみなさん、今回の技術も熟練すれば、また一つステップアップする
ことになります。頑張って下さい。
次回は現場研修です。間伐地と無間伐地での水収支のモニタリング研修です。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。