エンジニア科1年生は、前期に『森づくりの基礎』という科目があります。この科目は、造林・育林の基本的な作業について、 その目的や作業手順、注意点などを座学で学びます。そして、1年間を通しての『森づくり実習』という科目で、実際の作業を体験します。
ただ、その2つの科目だけで森づくりがわかるわけではありません。そこで、この『森づくりの応用』です。近年の林業の現場は、間伐作業を主体に回っています。間伐は、森林を健全に保ちながら将来の収穫に向けて森林の姿を整える作業です。それとともに、収穫という側面も持ち合わせています。この授業では、間伐についての考え方や選木の仕方などについて、実習を中心に学んでいきます。また、オプション的な施業(複層林施業など)について、その意義や問題点を学ぶことにしています。
第1回の授業では、本数密度の概念と密度の影響で林木の形状がどのように変化するかを確認しました。
教室で前期の復習をした後、学内の広場に出て、10m四方と15m四方の方形区をつくりました。エンジニア科1年生は18人です。最初に18人全員が10mの方形区に入りました。そこで、自分たちを木に見立てて、その本数密度を計算します。次いで、てんでんばらばらに位置していた学生に、「隣同士の距離がみんな等しくなるようにに並べ」と指示しました。この隣同士の距離が、相対幹距比を計算するのに必要な平均個体間距離になるわけです。 その場で、平均個体間距離を計算します。戸惑っていた学生もいましたが、なんとか全員が正解を出せました。
今度は、演習林に移動して、樹形の確認です。
森林の混み合い度によって、樹冠長率や形状比が変わります。これも、相対幹距比などの指標とともに、間伐の必要性や緊急性を判断する上での指標になります。
今後、繰り返しの実習で、森林や林木に対する感覚が研ぎ澄まされていくことを期待しながら、1回目の授業を終えました。
by 横井秀一