2014年1月28日火曜日

「山里に伝える」の発表会をしました。


山村づくり講座と木造建築講座の合同専門科目、「山里に伝える」授業が終わりました。

後期30時間をかけて行われたこの授業の様子をまとめてお伝えします。

まず、授業の流れについて簡単に説明します。

授業に参加する学生は、地域活性に重要だといわれる人材「よそ者、若者、変わり者」として、地域の皆様にご協力いただきながら以下の二つの活動を行います。

一つ目は、地域を歩いて見つけたお宝を写真や地図で表わす「あるもの探し」。
二つ目は、地域に昔から住んでおられる住民の方にお話を聞き、それを文章化し作品にまとめる「聞き書き」です。そして、最後にこれらの活動の成果を地域の皆さんの前で発表するというものです。

今年は、岐阜県大垣市上石津の多良地区で活動させていただきました。

公民館長のMさんに全面的な受け入れ協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。



それでは、「あるもの探し」活動の紹介です。

3グループに分かれ、それぞれお住まいの地域周辺を案内していただきました。
 
 地域のことは何でもご存じです。
 きちんと積み上げられた薪棚に思わず注目

  お家に招いていただきました。

 
今もきれいに管理されている茶畑。
 
製茶工場を見せていただきました。
  

自家製のお茶を入れてくださいました。


 立派な石垣には必ず地域の歴史が刻まれています。
庭の古木にも物語があるはず。


野鍛冶をされていたおじいさまが鋳造された刃物、農具を見せていただきました。


ご先祖さんの写真を見せていただきました。


戦で落ちのびた武者が隠れ住んでいたという場所。

 
「重軽石」 昔からこのお家に伝わるもので、願をかけて持ち上げた時、軽く感じれば願いはかなうといわれている。実際に持ち上げた学生の感想は「重かった・・・」そうです。               


住んでおられる方には、当たり前の風景でも、初めて訪れる者にはとても新鮮で楽しいものです。案内してくださる地域の方にいろいろ質問できることで、より関心が高まります。言い伝えや民話、歴史的な出来事も、その場に立って聞くと、とてもリアリティーがあります。仕事場を見せていただいたり、お家にお邪魔して自家製のお茶をごちそうになったり、とても親切にしていただきました。お互いの感覚の違いに面白さを感じてもらえると、より盛り上がります。写真もたくさん撮りました。

 



見聞きしたことを地図に書き込む作業です。地域の方にも参加していただきました。




この日には完成できませんでしたので、持ち帰って発表までに完成させることにしました。


 

次に聞き書き活動の様子です。

あらかじめご紹介いただきました地域の方への「聞き取り」です。
公民館長さんのご自宅(お寺さん)をご提供いただき、話し手さんから1時間ほどお話しをうかがいました。
 
 
 


学生はこの話しを録音させていただき、持ち帰ります。

各自、録音を聴きながら文字起こしをします。実はこの作業がもっとも時間がかかるのです。

 

話し手さんの言葉を正確に文字化できたら、次に、読みやすくするための編集作業を行います。話し手さんはもちろんですが、ご家族や地域の方にも読んでいただきたいので、間違いのないよう、話し手さんに了解をいただきながら、作品化を進めます。聞き書きの専門家によるアドバイスを受け、よりよい作品作りを目指します。


 

発表会には、話し手さんとご家族の方、ご近所の方、行政の方、議員さん等たくさんのかたにお集まりいただきました。

 


あるもの探しマップが完成しました。
  
 
 
 


聞き書き作品の朗読

 
 
 


話し手さんに聞き書き作品の贈呈です。

 

公民館長さんから感謝の言葉をいただきました。

 

アカデミーの「よそ者、若者、変わりもの」たちが、多良地区の活性化に少し貢献できたような、そんなうれしい瞬間でした。
学生たちもきっと同じ気持ちを抱いてくれたことでしょう。

以上、山村づくり教員 原島が報告しました。