2014年6月4日水曜日

分野横断のウッドプロジェクト、今年も動いています!

アカデミーの最大の特色は、林業、木造建築、木工、山村活性、環境教育という分野が一つの学校で学べるというところです。もちろん、学生はその中から自分の専門分野を選択し、学んでいくのですが、共通科目、共通のプロジェクトを通して、他の分野の知識を学んだり、分野横断的なノウハウを学んだりします。それがアカデミーで学ぶ大きなメリットであり、卒業後の武器となるのです。

そして、毎年分野横断プロジェクトとして2年生対象に行われているのが、ウッドプロジェクトと呼ばれる授業です。これは1年間学んできたそれぞれの専門分野の知識、技術を持ち寄って、ある課題に対して みんなで取り組むというもの。

今年のテーマは「ナラ枯れ材(コナラ)の有効活用」

現在少し下火になってきていますが、数年前まで日本各地で広まったナラ枯れ。カシノナガキクイムシという虫がラファエラ菌を媒介するのですが、その菌が蔓延した部分は壊死し、通水ができなくなって枯れる現象です。緑多きこの季節、山の中にぽつんと茶色いままの木があったらナラ枯れで枯れてしまった木かもしれません。

その枯れてしまった木を有効活用するにはどうしたらいいのか、それが今年のお題なのです。まず最初にナラ枯れについての基礎知識は、アカデミーに隣接する森林研究所の方に講義していただきました。でも、そもそもコナラという樹、木材については学生たちはあまり馴染みがありません。コナラはこれまで、薪などの燃料や、シイタケ原木などに利用されてきましたが、石油系の燃料をつかうようになってからは里山にあるコナラは放置され、巨木に成長してしまいました。そうなると、シイタケ原木としても活用できません。木工の世界でも、コナラは狂いやすい、加工するには堅すぎるなどの欠点が目立ち、活用されてきませんでした。そんなコナラたちがナラ枯れの被害にあい、景観を乱し始めています。では、最近の薪ストーブブームに乗っかって、薪にすれば、、、、、といっても経済的に成り立たせるのにも課題が多くあります。どのような活用方法が考えられるのか、それを探るのが今年のウッドプロジェクトなのです。

と前置きが長くなりましたが、今回、コナラという材料を知ろうということで、みんなでコナラを伐倒しに、美濃加茂市の里山林に行きました。



自分とは違う分野の同級生が活躍する姿を見るのは非常に新鮮なんだと思いますが、今回は特に林業を学ぶ学生たちが主役の一日でした。



教員と一緒に、伐倒の方向を考えています。またそれに伴って支障木として切らなければいけない樹も判断していきます。


今回、支障木として伐倒したあわぶき、という樹。その名の通り、泡を吹くほど、水分をどんどん吸い上げ、ぽたぽたと滴りおちるぐらいでした。そして、断面が真っ赤でとてもきれいでした。乾燥してもその赤さは残るのでしょうか?こういった赤さというのは、材料の一つの特徴として生かせるのか?ウッドプロジェクトの主題とは違いますが、アカデミー学生ならこういった里山の雑木といわれる木々たちの有効利用も一緒に考えていかなければいけません。



伐倒木にワイヤーと取り付ける学生。ひょいひょいとラダー(はしご)を取り付けて数メートル上までのぼりワイヤーを取り付けます。


最終的にお目当てのコナラの伐倒です。受け口の方向を確認しながら、きれいに作っていきます。そして、追い口にチェーンソーを入れ伐倒。林業の先生からすれば多々注意すべき個所があったようです。



伐倒した材は、想定される利用方法に沿って玉切りします。そして、ロープで引き揚げ、トラックに積み込んでいきます。林業以外の分野の学生もこういう作業では活躍します。が、かなりの労働ですね。最後はみんなへとへとです。

  

未来の林業を担っていく学生たち。細かいことはまだまだ精進しなければいけないことも多いですが、お互いの強みを生かし、刺激し合いながら歩んでいくウッドプロジェクト。まだまだ無知だった1年前から大きく成長した姿を見せ、この授業を通してさらに強みを磨いていってほしいですし、その強みを持ち寄った時に可能となる新しい知見というのも探ってほしいと願います。


 
 ウッドプロジェクトは年間通して進められます。その過程や成果をまた報告していきたいと思います。