2014年6月20日金曜日

地域調査法演習


612日クリエーター科山村づくり講座一年生は「地域調査法演習」にて、下呂市馬瀬地域を題材に地域の自然を調査する方法について学びました。
山村づくり講座OBでもある、馬瀬在住の天池さんに旧馬瀬村をご案内いただきました。
先ずは、「ホキ」(地名)の森林の植生調査です。今にも雨が降りそうな中、傾斜60度の斜面を上って行きます。調査場所は急傾斜の崩積地となっており、角礫がごろごろし、なかなか足場が落ち着きません。誰かが上で動くたびに落石がおこり、ずーっと「ラーク!ラーク!」と叫んでいました。ここは山ビルも出る所で吸われないかなど、何かと心配が多かったです。雨が降り出す直前に何とか調査終了。
さて、山ビルは・・?



かなりの急傾斜地



次は神秘的な馬瀬川の淵、くるみ淵の魚付保全林候補の林を対岸から観察しました。
くるみ淵の馬瀬川はなんと、底まで見透せ、エメラルドグリーン色に澄んでいます。
7月~8月は泳げるそうです(OB天池さん談)
川岸は渓流帯です。ここでは渓流帯の環境に適応して進化した植物がいくつかみられました。渓流帯では増水時の急流で引きちぎられそうになるので、根茎を発達させ岩場の隙間にしっかりと伸ばしてしがみつきます。サツキは葉が小さく、ケイリュウタチツボスミレは葉に光沢があります。「葉の光沢」は、水位が低い時に岩場の乾燥環境に耐え、葉から水を失わないようにする戦略と考えられています。ヤシャゼンマイの葉も光沢があります。形は細長く流線型に進化していました。これは強い流れに逆らわず、いなすための工夫です。
大変興味深いことですね。


ヤシャゼンマイ


さて、山ビルですがこんなところに・・。恐るべし山ビル。幸い、吸われてはいなかったようです。





チョロチョロと水音が聞こえてきます。扇伏地の真ん中辺り(扇央)は、山から流れてきた川が一度地中に潜って伏流するため水路で上流の水を引いています。
家々には手や野菜を洗うための「水舟」が見られます。

扇状地の末端に位置するお家では、水が湧き出ていてそれを馬瀬では「シミズ」と呼んでいます。シミズはいろんな使われ方をされています。
夏は冷たく、お茶、野菜など冷やし、お洗濯もされるそうです。
冬も凍らず、流れっ放し、川の恵みは羨ましいですね。






100年ぐらいに一度しか咲かないと言われる、ハチクの花。枯れる前に咲くそうです。
花が咲くと実がなり、種から新しい命が誕生します。すごい出会いでした。




斜面で、牛を使って除草をしていました。春に子供が生まれる、おかあさん牛たちが放牧され下草を食べるのです。体に良くないのかワラビ、ドクダミは食べ残されていました。




馬瀬西村は坂道と水音の集落で、今につながる、かつての里山の営みがありました。
山の事情も変わりサルも多くなったそうです。里で何度か見かけました。
今回は自然に関する調査法を学びました。次回は社会学的手法を中心に調査法を学ぶ予定です。

山村づくり講座1年 榊原ひとみ