10月16日の「地域プロジェクト実習」は、揖斐川町春日の上ヶ流(かみがれ)地区にお邪魔し、来春の一番茶を採る準備のため、伸びた枝を刈りそろえる「整枝(せいし)作業」を体験させていただきました。
今回も実習を受け入れて頂いたアカデミーOBの森さんによると、お茶は「攻めないと芽が混んでこない」とのこと。整枝は、美味しい一番茶を摘むために必要な作業なのです。
上ヶ流茶生産組合の佐名組合長から、お茶の価格低迷や若者流出のために、荒れた畑が増えているという説明がありました。そんな中、この地区では、寒暖差が大きく、霧が多い条件を生かし、農薬を使わない上ヶ流茶の生産に精を出しておられます。
佐名組合長と森さんによる整枝機の実演の後、茶畑のうねの上下に2人一組で並んで、つまづいて転ばないようそろそろと歩を進め、バリカンのようにてっぺんを刈っていきます。
虎刈りにもならず、「初めてにしてはなかなかうまくできた」、と悦に入っていると、佐名組合長から「刈り過ぎ」と一声。葉先から10~12センチぐらいを刈るのが良く、あまり深く刈ると芽が生えてこないということです。
小柄な佐名組合長と組んで整枝機を持つと、ぐんぐんと速足で進み仕上がりもきれいです。ただただ丁寧に作業すればいいのではないのだということを痛感しました。
20キロの袋を背負って、なたね油かすもまきました。
お昼には、茶葉を半発酵して作ったウーロン茶を、森さんからごちそうになりました。これまでお茶とウーロン茶は別物だと思い込んでいました。森さんは、この地域では採算が合わないと捨てていた二番茶を、ウーロン茶や紅茶として活用していきたいそうです。
山村区長も駆けつけて下さり、茶畑から採れたコンニャクイモから作ったコンニャクをいただきました。歯ごたえがあって、自家製の味噌をつけると、ほっぺたが落ちそうでした。
軽トラックの荷台に乗って、茶畑の間を移動して見える景色は、まるで南米かネパールの高地のよう。あまりの心地よさに鼻歌でも口ずさみたくなります。
在来茶の畑で、化学肥料を使っていないからこそ栽培できる、コンニャクイモ掘りも体験させていただき、春日のさまざまな可能性を感じた実習でした。
山村づくり講座1年 井澤 宏明