2011年6月3日金曜日

こんなん咲いてました83

梅雨に入る直前に、カザグルマが大きな花を咲かせました。日本では、
園芸品種などではなく、野生の個体であるにも関わらず、これほど派
手な花を咲かせる植物も珍しいでしょう。

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カザグルマは湿地に多いですが、出現するときは林縁にツルがからん
で、日の当たるところで花を咲かせることが多いです。この場所は林
が伐採されて明るくなってから、一面に花をつけるようになりました。

カザグルマの花は、開花してから散ってしまうまでの間に性が変わり
ます。初期の雄性期には、雄しべだけが熟してあふれんばかりに花粉
をつけていますが、雌しべはまだ中心に埋もれたままです(写真1)
この時期でも、よく見ると中心部に雌しべの先が見えています。もう
少したつと、中心から雌しべが顔をのぞかせて、広がってきているの
がわかります(写真2)。さらに時間がたつと、おしべは完全に開き
きって脱落を始めます(写真3)。雌性期のはじまりです。この雌性
期には花は雌として機能しているということになります。

前回のヒトツバタゴの場合は、花ごとに性が固定していましたが、こ
のカザグルマの場合のように、両性花をつける場合であっても、一つ
の花が雄の時期と雌の時期を使い分けることによって、自家受粉を避
け、健全な子孫を残そうとする仕組みは珍しくありません。

歩けないがために昆虫に花粉を運んでもらっている植物ですが、歩い
て相手を探せないだけに、色々な工夫があるのですね。今年も多くの
昆虫が訪れて、健全な種子をいっぱいつけて欲しいものです。また、
カザグルマが咲くような湿地が多くのこされるよう祈らずにはおられ
ません。