「住まいの温熱性能と健康」というテーマで短期技術研修が開催されました。
現在、注目を集めているエネルギー問題とも関連する温熱性能(暖冷房エネルギー)ですが
住まいとしてみた場合、居住者への健康というキーワー ドも大事な要素です。
温熱性能とは・・・・・・ヒートショックの軽減や、暖冷房エネルギーの軽減
室内温度の安定性などに影響する住宅の基本性能のひとつ。
主に冬季の断熱性能、気密性能と夏季の日射遮蔽性能で決まります。
前半は、温熱性能と健康をキーワードに、概論講義を行った後
実務で活かす事の出来る温熱性能の指標(断熱性能として熱損失係数Q値、
日射遮蔽 性能として夏季日射取得係数μ値)を例題を元に計算しました。
熱損失係数とは・・・一般的に「Q値」といわれているもので、住宅の断熱性能を数値的に表したものです。
値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
熱損失係数は、外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を計算し
各部位の熱損失量を合計したものを延床面積で割って計算します。
日射取得係数(μ値)とは・・・住宅に入る日射割合を数値的に表したものです。
値が大きいほど日射が住宅に入ることを表し、
庇や日射遮蔽物(レースのカーテンやブラインドなど)も考慮して
計算することができます。
夏に住宅に入る日射を判断するためのものです。
いくら高気密高断熱の住宅を建てても、夏の日射取得が多い住宅では
冷房費がかかってしまい省エネになりません。
そのため、庇やブラインドなどを利用して、夏の日射を遮る工夫をする必要があります。
夏期日射取得係数は、このように夏の省エネについて、判断することができます。
最後には、計算結果から導き出された値を用いて、住まいで消費するエネルギーを考えました。
朝から夕方までの座学ばかりの短期技術研修でしたが、受講生皆さん熱心に聴いていかれました。
辻 充孝(森林文化アカデミー講師)