ヒガンバナの花が一面に咲く季節になりました。そんな季節ですが、
あえて今回は地味な花をご紹介したいと思います。
地味とはいいながら、一面に咲き誇る様子は高山のお花畑か、もしく
はどこかのお庭に植えられたお花畑か(?)といった風情です。とこ
ろが生えている場所をもう少し別の角度から遠目にみると、こんな感
じになります。
お花畑というよりは、道路際の道ばたに雑草のように生えていますね。
これはニラです。普段葉っぱはよく目にしますが、ちゃんと花が咲く
まで育てると、思いの外清楚な花をつけるものだと感心します。
よくよく見ると、よその家の道とお庭のほんのわずかな隙間からも生
えています。健気ですね。
一度目にすると、ニラが気になってしかたありません。食べられる植
物が道ばたに生えているだけで、ワクワクしますが、この雑草のよう
な生え方を見ていると、この植物の出自も気になります。図鑑によれ
ば、900年前から日本では栽培されており、全国に自生するが、日本
では真の自生かどうか疑わしいとあります。東アジアの原産だそうです。
前川文夫先生の「史前帰化植物」のリストにはあがっていませんが、
古くから日本に伝わったものが、人の暮らしのまわりに広がって住み
着いたと想像すると面白いと思います。
排気ガスをかぶった道路際のニラはともかく、田んぼの畦畔斜面にか
たまって生えているニラはとてもおいしそうです。このような「ノラ
ニラ」を見つけたらぜひ葉をちぎって匂いを楽しんでみてください。