これまでこうした授業は、森林計画やその基となる森林法など、法律の概念を理解することが重要視されていました。
もともとは国が「全国森林計画」を15カ年計画で作成し、それを踏襲する形で岐阜県を5つの森林計画区に分けて、岐阜県が「地域森林計画」を立て、市町村役場はそれをまた踏襲する形で「市町村森林整備計画」を立てていました。
そして、森林所有者が「現実の施業とはマッチしているとは言い難い」ような「森林施業計画」を立てていました。
それが森林・林業再生プランが導入されることで、大幅に変わってきます。内容は膨大なので詳細は示しませんが、
これからは森林施業計画ではなく → 森林経営計画
森林を面的に施業し間伐材を搬出する
こうしたものに変化して行きます。木材を搬出するとなれば、森林土壌や河川への影響が心配になって来ます。
そこで、今回は岐阜大学総合メディア研究センターの篠田成郎教授に「林業と土壌、水環境について」お話しを頂きました。
篠田先生はまず、間伐されたスギ林と無間伐でまっくらなスギ林の生物層、微生物層、土壌水分の違い、渓流水の水質の違いを、モデル地区の調査結果から分かりやすく説明して下さいました。
当、「林業再生」は6名です。6名の学生のために、篠田先生の貴重なお話を聞かせるのは簡単なことではありません。しかし、お話の内容は大変価値ある内容です。
先生が間伐林の渓流で採取した水(あまり濁っていない)と、無間伐林の渓流で採取した水(黒く沈殿物もあり、濁っている)を比較説明します。
中には上流域でも先端が二分しており、左側はスキー場利用、右側が高冷地野菜栽培農地であれば、窒素成分などが大幅に異なることも示唆されました。
ある年から長良川の漁獲量が減少している。それも長良川河口堰ができてからアユ(鮎)の漁獲量が減少したため調査してみたが、陸封型のアマゴの漁獲量も「減少していること」に目を付け、森林が何か影響しているのではないかと考えたそうです。
間伐をされないと、雨が林床に浸透しにくく、かつ少し染みこんだ水は樹木によって吸い上げられて蒸散してします。大量に雨が降ると、樹冠に付着した雨粒がどんどん大きくなり、その大きな雨粒が土壌表面に落ちると、
1.土壌構造を壊したり。
2.小さな土壌粒子を土壌の粗孔隙に送り込む。
3.当然、土壌の表面流も流れる。
4.無間伐地の土壌は水が早く浸透して、渓流水に細かな土粒子を押し出して行く。
まだまだ、ありますが書き切れません。
篠田先生は、微生物の多さや林地土壌の取り扱い、間伐の有効性など様々なお話しをして下さいましたが、最後に、山はどこでも一律の仕事をすればよいのではない。
奥地や高山地の守るべき森林、路網を整備して木材利用を促進する低山地域、そしてその中間で環境に影響の少ない方法で実施する林業についてもお話しして下さいました。
篠田先生、初めての機会でしたが、大変有り難うございました。
学生さんは「わかってくれたかな?」と感じつつ、その後に「森林・林業再生プラン」についての授業を終えたのです。
ジリこと川尻秀樹でした。