2012年5月18日金曜日

エンジニア科1年生の「森づくり実習」で

  ヒノキの実生苗づくりを実施しましたので報告します。

 これまで山にヒノキの苗木を植林するときには、岐阜県の白鳥林木育種事業地で生産された苗や、種苗生産業者の方が生産された苗を植えてきました。

 しかし、今後は森林文化アカデミーで自前の苗を植林しようと、今年から2年後の植栽に向けた苗づくりを実習に取り入れました。

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 これはヒノキとスギの球果です。この中に種子が入っているのです。

 林野庁の森林・林業再生プランでは木材を伐採して、搬出し、それを利用するための経営計画を立てることがうたわれています。
 こうして木材を伐採してゆけば、必ず「植林」が必要となり、現在ではその植林用苗木を生産している種苗生産業者も激減しています。今こそ、苗づくりできる技術者を養成する時期なのです。

 教室で苗生産の基礎的なこと、実生苗木の作り方の一端を川尻が講義しました。

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 最初に苗畑の除草と除石を行い、次に土壌の耕耘と整地をして、畝作りをします。
畝の土はふるいでふるって、土壌を適当な大きさにするとともに、小石を除去します。写真手前の竹箕に入った赤い土は、播種床用の赤土です。

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 畝の土をならしたら、次は赤土をふるいます。最初に作った畝のままでは土壌に栄養分がありすぎて、芽生えた実生苗に悪影響を及ぼす雑菌が繁殖してしまいます。そこで栄養分の少ない赤土を表土とするのです。

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 赤土をふるったら、次にてん圧です。これは土壌をしっかり押さえることで、乾燥防止になり、かつ実生苗の直根だけが伸びるのを抑制してくれます。一般的には小型のローラーを使い、ますが、今回はアカデミーで不要となった角材を富田先生から頂いて、それを利用しました。

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 いよいよ播種、タネまきです。昨日までに吸水させたヒノキの種子を一人ずつまきます。一般的には全面バラマキが主流ですが、今回は学生が自分の播種した苗を確認できるよう列状にまきます。

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 一人あたり、100本の得苗を目指して丁寧に播種し、その上から赤土をかぶせました。この覆土は2~3mmの少量です。

 最後に、藁で全面を覆います。藁は乾燥防止であったり、芽生えに付着する土袴防除であったり、いろいろ役立ちます。藁を敷いたら麻ひもでしっかり止めて、散水したら本日は終了です。

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 さて、これからは当番制の散水と藁の取り外しもあります。実習や授業の合間を見て、苗の成長具合を観察しましょう。

以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。