岐阜県が開催する
平成24年度の「施業プランナー」育成研修の第9回を開催しました。
今回は森林文化アカデミーを出て、岐阜県森連東濃支所と現地の伐採現場での研修を実施
しました。
今回の講師は、岐阜県森連の三島副会長と、県森連の川邉参与兼東濃支所長です。
まず最初に、三島副会長から「原木流通の現状と課題」という題目で、2時間講義を受け、質疑
応答。
最初に三島副会長は、原木の生産・流通段階での分業が材価低迷時における生産拡大の阻害
要因になっていることを強調。
さらに、流通段階での最大コストは運搬費、このコストが大きいから山土場仕分けが重要と強調。
施業プランナーは地域の情報を収集して、立木在庫の確保につとめ、伐採段階で製材側に合
わせた造材、仕分けの徹底、つまり伐採段階で売り先が見えていることが重要。
また、中間土場は恒常的なものと考えず、常に移動させる弾力が必要。:常にコスト意識を!
県森連も入札や付け売り、特売などの市売りだけであったが、平成17年からシステム販売を導入。それまで赤字であった原木取り扱いが、近年は黒字転換。
これに対するクレーム処理を「対応する中で、売り手の質の向上が図られ、より有利な販売に
結びついた。
一例を示すと、
(1)通常の共販(1m3あたり) 、市場での原木入札価格が12,000円であれば、
生産費に8,000円、積込・運搬に2,000円、仕分に950円、手数料8%に960円と考えると
森林所有者への返還金は 12,000-(8,000+2,000+950+960)=90円だけ?
(2)岐阜県森連システム販売(1m3あたり) 、原木価格が12,000円であれば、
生産費に8,000円、山土場仕分500円、手数料5% 600円、積込500円、運搬2,000円となり、
森林所有者への返還金は 12,000-(8,000+500+600+960)=2,900円!
こうしたシステム販売が成功した理由には、山土場設置と森林評価測定士の養成、そして県森連
の努力があるのです。
午後からは、川邉参与から、市場で取引される原木、特に良い原木と良くない原木、そして現場
での伐採と有利採材(造材)について指導を受けました。
施業プランナー研修受講者の大半は事務仕事が多く、原木についての知識が乏しいのが現状
です。
川邉さんは、元玉証明はいらない。余尺は割れを見込んで10cmほしい。根張りは外す。
特に写真のような心が偏芯したものは製品として狂いが出るため不良。
木口面に切削のズレがあったり、斜め切りは不良。最近の製材事情を良く把握せよ!
樹皮に割れ(樹皮が短く切断されたもの)は木材にも応力が加わっており、カンナがうまくかから
ない。化粧材とならない。土台材としてしか利用価値がない。皮目をよくみること。
次は、恵那市中野槙ヶ根の現場で、伐採木を施業プランナー研修生が造材体験。ここでは7haの
森林で130m3の利用間伐されており、0.45級のスイングヤーダなどによって搬出している。
この約70年生のヒノキを実際に有利採材(造材)できるかを、各々3人6つのグループに分かれて
実践しました。
最初に立木幹材積を求めます。この木は樹高17.3m、D.B.H31.2cmで0.57m3ありました。
(1班の採材): 一番玉3m(末口24cm)、二番玉3m(末口20cm)、三番玉4m(末口14cm)
これを現場で計算すると、0.37m3、歩留まり68%
材価では、2,040円+1,920円+708円=4,668円 m3単価12,600円となる。
(2班の採材): 一番玉4m(末口24cm)、二番玉4m(末口18cm)、三番玉3m(末口12cm)
これを現場で計算すると、0.40m3、歩留まり70%
材価では、2,760円+2,080円+320円=5,160円 m3単価12,900円となる。
(3班の採材): 一番玉2m(末口26cm)、二番玉4m(末口22cm)、三番玉4m(末口16cm)
これを現場で計算すると、0.43m3、歩留まり75.4%
材価では、1,260円+3,420円+1,600円=6,2890円 m3単価14,600円となる。
もっとも高いヒノキ材は、末口が20~26cmの6m通直材。曲がりを見るには、元玉側からしっかり、
まっすぐに見る必要がある。小曲は長さ1mに対して1cm。
一番玉と二番玉で木材代金の70%を占める。いかに、この材積を稼げるところで、金額を大きく
するのかが採材のポイント。
次に、4~6班が、採材目利きに挑戦、私たちの予測とは裏腹に、前の元玉2m採材が印象に
残ったのか? 多くの班が元玉を合板用210cm採材を考え、その上を3mまたは4m採材としま
した。
しかし、川邉さんは末口直径、真円性、年輪の均一さ、色合いなどから、これは元玉3mで採材
すれば60,000円/m3になると、採材指示を出しました。現場では待機してくださった富成さんに
実際に採材してもらったのです。
さて、今回の研修、実際に原木を採材することの難しさ、そしてお金を稼ぐことの難しさ、現場で
肌で感じてもらえたと思います。
今後は森林所有者と山元に少しでもお金を戻せるよう、皆で勉強していきましょう。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。