私事ですが、岐阜市内に住宅を建築中です。古い町並みが残る川原町と呼ばれる地区にある町家を改修・増築しているものです。川原町はその名の通り、長良川の河畔にあり、上流から運ばれる材木と美濃和紙の流通で栄えた町なのですが、私が森林文化アカデミーでの活動を通じて出会ったさまざまな方とのご縁で、川原町にふさわしい、また森林文化アカデミーの教育理念にもふさわしい家になりつつあります。
11月18日(日)に「見学会」と「町家活生セミナー」が行われることになりましたので、お知らせします。
こちらからチラシを閲覧・ダウンロードできます。
住宅見学会、見どころは・・・
・設計・・・森林文化アカデミーの名誉教授・三澤文子先生が提唱・実践する「木造建築病理学」にもとづき、町家を再生していただきました。「木造建築病理学」は森林文化アカデミーで行われる授業で、これからの時代に求められる木造住宅の改修技術を学ぶものです。多くのプロの設計士・工務店さんも聴講に来られます。
・材料・・・使える部分は可能な限り、岐阜の木を使っています。特に構造材のスギは、地主であり施工主でもある老舗の材木屋さんが、関市洞戸の山から伐って出してくれたものです。
・大黒柱・・・森林文化アカデミーで実習を行う郡上市白鳥の森で、ナラ枯れの被害を受けた丸太を用いました。ナラ枯れは全国で深刻な被害が出ていますが、その材を建築に生かす試みです。リビングのカウンターや階段板にも利用しました。
・梁・・・既存の町家の梁を生かしたものです。1階建てを2階建てに改築してもらったので、2階の目の前に梁が走って迫力があります。
・外壁・・・設計事務所のスタッフさんや森林文化アカデミーの学生さんたちに手伝っていただき、塗装をしました。
・床板・・・森林文化アカデミーの同僚や妻が営む漆教室の生徒さんたちに手伝っていただき、漆を塗りました。
・照明・・・妻の漆教室の生徒さんでもある、老舗の岐阜提灯の社長さんに作っていただきました。和紙は、森林文化アカデミーでもお世話になっている美濃の手漉き和紙職人さんのものです。
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車でお越しの方は、徒歩数分のところに岐阜公園第1駐車場があり便利です(Googleの地図には表示されません)。入庫後、いちばん奥のほうに停めると近いです。
バスでお越しの方は、長良橋方面行き(Nのついた系列)に乗り、「材木町」で降りて北へ徒歩2〜3分です。
見学会場から東へ2〜3分歩いたところに、「鵜飼観覧船待合所」があります。その2階で、13:30〜15:30に「町家活生セミナー」が行われます。
森林文化アカデミーの同僚で住まいの温熱環境のスペシャリスト・辻さん、今回私の家を担当していただいた設計事務所の田尻さん、そして三澤先生によるレクチャーがあります。その後は、施工にあたっていただいた棟梁さんをはじめ工事関係のみなさんでのディスカッションです。
この地域にお住まいの方や、これから木造住宅を建てたり改修したりしたい方には興味深い内容になると思います。
レクチャー(1)「町屋の寒さを改善する方法とは 寿命を縮める寒い家」
(岐阜県立森林文化アカデミー 辻 充孝)
レクチャー(2)「定期借地権による町家保存の可能性」
(Ms建築設計事務所 田尻 裕樹)
レクチャー(3)「川原町町家改修設計手法について 木造建築病理学の実践」
(住宅医ネットワーク代表/京都造形芸術大学教授 三澤文子)
ディスカッション「古い町家の改修工事方法」
建築工事:雛屋林材株式会社
解体・基礎工事:株式会社 栗田組
大工棟梁:岐長建築
瓦工事:高橋製瓦株式会社
設計:三澤文子 MSD
ぜひお越しください。