~ 記憶から記録へ ~ そのためのGIS技術初歩編 2日連続講座
岐阜県立森林文化アカデミーの 「施業プランナー育成研修」 の二回目。
お世話役のジリと下野さん。そして今回の講師である県庁森林計画課係の川村技術主査、
そして郡上市八幡町のLSA(ローカルサポイートアソシエイツ)代表の河合渉さんです。
最初の川村さんは森林文化アカデミー情報処理室で、「森林簿による情報把握」と称して、森林
簿の目的、見方、交付、データの貸与、GISなどによる森林簿データの活用についてお話しを頂き
ました。
次いで、岐阜県建設研究センターの県域統合型GISをパソコン上で作動させて、実際に操作し
ながら森林情報を確認し、林班や小班からの位置検索などを操作してみました。
つづいては、会場をテクニカルセンターに移し、LSAの河合さんから
「~記憶から記録へ~ 森林所有界の明確化」 と題して、ご自身の経験である様々なノウハウ
を惜しげもなく講義し、途中途中は研修生との会話も含めて、和気藹々とした説明を続けられまし
た。
講義の内容は 1.作業を進める上での基礎的事項
2.森林所有者の特定および所有界確認の手順 です。
所有者の特定や所有界確認ではどのようなことに注意すべきか?
一つ一つの事柄について、丁寧に説明して下さいました。特に杭の位置図や立ち会い写真
の重要性を力説されました。
森林所有者には(1)森林簿、(2)森林基本図(森林計画図)、(3)オルソフォトなどがあり
ますが、所有者さん達は森林基本図では等高線が「谷」であるのか、「尾根」であるのかが
判りづらいため、オルソフォトに所有界を入れたものを好まれる傾向が高い。
下調べの段階では、「公図(字絵図)」の入手が重要。森林所有者さん達は、この公図の
方がよく分かるらしい。
法務局では450円ほどで入手できますが、登録料は必要なものの、複数の公図を印刷するなら
インターネットで購入する方が安いことなども説明して下さいました。
また、多くの方が「森林簿は間違いが多い」と「言われますが、集約化に向かうには結局、森林簿
から入って、公図などにたどり着く方式が一番早道。
公図は対象区域内の地番を拾い出すのに重要ですが、登記上の所有権利者と事実上の管理者
が違う場合も多い。
ある程度、区域が判った時点で試しに現地に行くときには、GPSをのデータローガを持参すると
下のように、トラッキングデータが赤色などで表示でき、この総延長や面積をコンピュータ上で測る
こともできる。
座談会終了以後の現地立ち会いは、(1)必ず複数人が境界立ち会いする。(2)事前にGPSに
電源を入れ、デジタルカメラの時計と時間を合わせてきて、境界ポイントで写真を撮る。
すると後ほど、コンピュータ上で地図上に杭のポイントとその写真を貼り付けた有効なGISデータ
となる。
さて、本日は2日目目
早朝からヘルメットをかぶって演習林に入山です。
ここでは各自がGPSを手に入山しますが、最初に開空度のある衛星を受信しやすい場所でGPS
に電源を入れます。
小型のハンディGPSを見比べる研修受講者。
この小ささで、相当な精度が出ます。新機種は特に凄い!
演習林から帰ってきてから、フリーソフトの「カシミール」にデータを入れてみます。下のように、
赤い線が歩いた軌跡(トラッキングデータ)として表示できますし、これから様々な情報を取り込む
こともできます。
今回使用した機種によって、違いがあったのか比較してみました。すると、下の写真の赤い線
と黄緑色の線のように谷部では、相当なズレが見られました。
これは岸壁からの反射やキャッチしている衛星の数による誤差もあるのでしょう。
そして、今回はスマートフォンによるGPS操作を、揖斐郡森林組合の後藤さんがして下さいまし
た。
これは「山旅ロガー」を利用しており、これはAndroid内蔵のGPSを使って現在地のトラッキング
をおこなうアプリで、徒歩に最適化してGPSを細かく制御することで電池を節約し、長時間記録で
きるのが特徴です。
写真の貼り付けもばっちり、トラッキングもばっちり、GPSを別に持ち歩く必要性に疑問もでてしま
うほど有効な手法。
多くの人たちが、林分の特定だけでなく、作業路の線形にもこうしたデータを活用しています。
さて、最後に研修に来られた皆さんが、上記写真のような意気込みを書かれています。
来年2月の研修終了までに目標を達成されて、すばらしい施業プランナーになられることを
願ったのです。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。
山旅ロガーは,Android内蔵のGPSを使って現在地のトラッキングをおこなうアプリです.徒歩に最適化してGPSを細かく制御することで電池を節約し,長時間記録できるのが特徴です.