この授業は原木を生産する山側の人材が、川下側の市場や流通、製材、木材乾燥の現状と
問題点を把握し、新しい木材流通戦略を考えるものです。
今回は岐阜県庁県産材流通課の中通技術主査をお招きして、素材生産量について、
原木市場・直送について、製材工場について、A材を取り巻く加工流通について、
B材・C材用の合板、集成材、チップなどについて、木材利用の立場から学びました。
これにJIRIがマーケティングすることの意味合いを、その都度問いかけるような形式、
また、「なぜこのような現状にあるのか」という問いかけをしながら授業を進行。
最近の傾向として、合板用にカナダなど北米が中心にベイマツを売り込んできており、増加して
いる。
木材の生産、製材にかかる経費の推移を見ると、
例えば、スギ正角材1m3当たり価格の構成を見ると、下の棒グラフで、一番下の赤が(1)山主取
り分、真ん中の白抜きが(2)素材生産業者取り分、一番上の水色が(3)製材加工業者の取り分と
すると
(1)山主(森林所有者)の取り分は年々減少してきているが、(2)素材生産業者や(3)製材加
工業者の取り分は、さほど変化が無い。
日本では木材価格の国際競争のしわ寄せが森林所有者に来ている。
日本の木材流通はきわめて複雑。
製材工場での経費は、一般的に製材するものや木取りで異なるが、1m3当たり10000円から
50000円、木材乾燥経費は1m3当たり10000円から15000円かかる。
現在は流通のために性能表示も手段の一つ。
梁桁材の曲げヤング係数表示は重要、なぜなら設計上の指定も多くあるから。
梁幅120mm、材長4mの梁桁材を26162本曲げヤング係数を計測してみたところ、この調査
では太い原木ほど、ヤング係数が低い(弱い)傾向が出たそうです。
現在の岐阜県民有林スギ・ヒノキ人工林の10年後蓄積を見ると、下図のように増加量が著しい。
ただし、この中には利用したくても奥地であるとか、地形が急峻で伐採できないとかいった蓄積
も含まれています。あくまでシミュレーションですので。
この蓄積をどう生かすかです。
残念ながら岐阜県の素材生産量は、下図の昭和60年をピークに大幅に減少し、昨年度は36万3千m3、目指せ50万m3なのです。
さて今回は、このブログには書ききれないほど多くの川下側の流通課題と、そこに見え隠れする
マーケティングを探ることの意味合い学びました。
次回は実際の山での木材生産現場に出かけます。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。