2013年5月13日月曜日

林業再生講座 「木材の流通と販売戦略」

林業再生講座 2年生の「木材の流通と販売戦略

 この授業は原木を生産する山側の人材が、川下側の市場や流通、製材、木材乾燥の現状と
問題点を把握し、新しい木材流通戦略を考えるものです。



 今回は岐阜県庁県産材流通課の中通技術主査をお招きして、素材生産量について、
原木市場・直送について、製材工場について、A材を取り巻く加工流通について、
 B材・C材用の合板、集成材、チップなどについて、木材利用の立場から学びました。

 これにJIRIがマーケティングすることの意味合いを、その都度問いかけるような形式、
また、「なぜこのような現状にあるのか」という問いかけをしながら授業を進行。

 最近の傾向として、合板用にカナダなど北米が中心にベイマツを売り込んできており、増加して
いる。



 木材の生産、製材にかかる経費の推移を見ると、

 例えば、スギ正角材1m3当たり価格の構成を見ると、下の棒グラフで、一番下の赤が(1)山主取
り分、真ん中の白抜きが(2)素材生産業者取り分、一番上の水色が(3)製材加工業者の取り分と
すると

  (1)山主(森林所有者)の取り分は年々減少してきているが、(2)素材生産業者や(3)製材加
 工業者の取り分は、さほど変化が無い。
   日本では木材価格の国際競争のしわ寄せが森林所有者に来ている。




 日本の木材流通はきわめて複雑。

 製材工場での経費は、一般的に製材するものや木取りで異なるが、1m3当たり10000円から
50000円、木材乾燥経費は1m3当たり10000円から15000円かかる。

 現在は流通のために性能表示も手段の一つ。

 梁桁材の曲げヤング係数表示は重要、なぜなら設計上の指定も多くあるから。

   梁幅120mm、材長4mの梁桁材を26162本曲げヤング係数を計測してみたところ、この調査
 では太い原木ほど、ヤング係数が低い(弱い)傾向が出たそうです。


 
 
 現在の岐阜県民有林スギ・ヒノキ人工林の10年後蓄積を見ると、下図のように増加量が著しい。
ただし、この中には利用したくても奥地であるとか、地形が急峻で伐採できないとかいった蓄積
も含まれています。あくまでシミュレーションですので。
 
 この蓄積をどう生かすかです。
 
 
 
 残念ながら岐阜県の素材生産量は、下図の昭和60年をピークに大幅に減少し、昨年度は36万3千m3、目指せ50万m3なのです。
 
 
 
 さて今回は、このブログには書ききれないほど多くの川下側の流通課題と、そこに見え隠れする
マーケティングを探ることの意味合い学びました。
 
 次回は実際の山での木材生産現場に出かけます。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。