ツタとツタウルシ
クリエーター科では1年生の前期に基礎的な実習として樹木の見分け方、樹木同定の実習を行っています。基礎編として、用材としてよく使われる樹種について、葉と材のどちらでも見分けられるようになることを目標にしています。
しかし、見分ければよい種類はそれだけではありません。野外にはちょっと困った樹木も生えているからです。その代表格がウルシ属の植物です。理由は触るとかぶれるから、です。人によっては木の下を通っただけで触ってもいないのにかぶれるといいます。そんなウルシの仲間ですが、その中でも最強とされるのがツタウルシです。私はまったくかぶれないのでわかりませんが、かぶれる人に聞くと相当キツイようです。
おもて うら |
ウルシ属の樹木は、陽樹の中でも特に伐採跡や林縁など開けたところができると真っ先に生えて成長する植物(先駆種)が多いですから、下刈りをはじめとする林業の各種作業では遭遇しない方が不思議です。また、言うまでもなく漆は樹液が木工の塗料としても使われ、縄文時代から利用されていることがわかっています。
ツタウルシはよく人工林の林床に生えていて、時にスギの幹によじ登ったりもしています。そんなツタウルシにそっくりな植物があります。それは「ツタ」です。ウルシ科とブドウ科はまったく別の科であるにも関わらず、両方落葉のツル植物で、三出の複葉であるばかりか、葉の質感や形などもよく似ています。他人のそら似と言いますが、よくもこれだけ似てしまったものですね。少し暗めの林内で地面を這い、よい樹をみつけたらよじ登って上の方で光を受ける、そういった生態に合わせた仕様がこういった形態に反映しているのかもしれません。
学生のみなさん、これからツタウルシとのおつきあいがあるかもしれませんから、しっかり見分けてくださいね。
ちなみに答えは左がツタで右がツタウルシです。学生のみなさん、わかりましたか?