2013年8月24日土曜日

森林所有者に森林経営計画を提案せよ! 第9回 施業プランナー 育成研修

森林経営計画で「林業のテーマパーク」を提案 施業プランナー研修


 今回で折り返しとなる施業プランナー育成研修の第9回目、今回は森林文化アカデミーの演習
林33haを題材に、森林経営計画をたてて、森林の管理方針を所有者に概要説明することを目的
とした研修です。

 これまで演習林ではプロット調査や作業道線形踏査など様々な研修を実施してきました。今回は
その演習林の広葉樹林、スラッシュマツ林、ヒノキ約50年生林、スギ約50年生林、ヒノキ約100年生
林を対象に、生産林と環境保全林に区分し、それをどのように管理して、経営して行くかを検討し
ました。



 先週から事前にもらっていた森林簿データや森林基本図、林小班図をもとに各自が事前に練っ
た私案をグループ内で協議し、4つのグループで独自の森林経営計画をつくるため、再度、演習
林での最終チェックに向かいました。


 研修室に戻ってから、各グループともしばしの作戦タイムの後、パワーポイントによるプレゼンの
ためのスライドづくりに入ります。


 事前に意思統一して、現場に行ったのに、戻っていざ骨子をまとめると、方向性が変わっている。

 JIRIからは以下のような、指令がホワイトボードに示される。


 1.森林経営計画そのものが説明できているか?
 2.目標林型が素人でもわかるように具体的に表現されているか?年齢ではない大きさ。
 3.将来的に「この山」をどう経営するのかが語られているか?
 4.全体的(33ha)に語られているか?
 5.施業について、内容や目的、目標が明確か?




さて、午前中から午後3時までかかって、やっとプレゼン資料の素案ができました。

 発表です。

 最初のグループは、下の図の右側の緑色の部分は「環境林」、青色の部分は「木材生産林」と
し、環境林は広葉樹の育成。生産林は作業道のあるところは、定期的な利用間伐で収入を上げ
るが、作業道から遠い範囲は切り捨てのみで、主伐時に架線集材する。・・・・・何とも、切り捨て
がもったいないプレゼン。・・・これで所有者は納得するのか。

 また環境林の広葉樹林も施業について、踏み込み切れていない。



 作業道は現在ある幅員2mほどのキャタトラ道を幅員3mに拡幅して利用する。拡幅に要する経
費は立木で相殺する。



 現在、約50年生のスギ林は、100年生で直径80cmを目指す。林分イメージは下の写真。



 現在、約50年生のヒノキ林は、80年生で直径40cmを目指す。それまでは利用間伐。
林分のイメージは下の写真。


 現在、100年生の林分は全体の面積の14%ほど、これは道際は利用間伐するが、今後どうする
かは、120年生の時に再検討する。



 各グループが様々な経営計画を立て、グループによっては現在約50年生のヒノキ林が平均直径
24cmで、1,200本/haのところは樹冠が込んできているので今回間伐するが、100年生で直径
50cmのところは500本/haで樹冠が接していないので間伐しない。スギ50年生で直径28cmのとこ
ろは700本/haで樹冠が込んできているので間伐する。

 またグループによっては、ヒノキは土台材が売れているので、直径24cm以上の小曲材を利用間
伐するとかの提案もありました。



 最後の4つめのグループの発表は、
   「林業のテーマパークをつくる」 というもの



 この33haには様々な林分が混在しているので
   それを「人に見せる」 つまり「林業のテーマパーク」を提案する。

 林分は各々、研修林、体験林、モデル林、指標林、レクレーション林、木材生産林とし、
森林林業のモデル地区としての情報発信拠点として位置づける。

 ヒノキ50年生林分は直径26cmほどになる80年生まで、10年間隔で利用間伐し、80年生で主伐
し、再造林地や美濃市特産のコウゾ造林地も設定する。
 100年生林分は見本林として、適正に管理し、適度に択伐する。

 森林空間を「林業空間」としてだけで考えるのではなく、「多用な森業空間」として、位置づけ
様々な体験活動などでも収入が上げられるような場所をつくる。

 こんな発表もありました。

 最後に、発表を聞いて頂いた横井先生からは、様々なコメントを頂きましたが、
  「施業プランの積み重ねることで森林経営計画という大きな方向性が見えてくる」などの意見も
頂きました。

 今回も暑い中、皆さんご苦労様でした。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。