2013年9月30日月曜日

『樹木学実習』で四苦八苦?

 クリエーター科林業再生講座の専門科目『樹木学実習』の前半(着葉期編)を行いました。この科目は、現地において高木性樹種を主に、各樹種の形態・生活史・生態的特性・利用特性などを学ぶものです。

 林業では、計画をするにも現場で作業するにも、対象となる樹木やその集団である森林について、十分な知識が必要です。樹種の同定能力は当然のこととして、それ以外にも様々な情報を知らなければ、よい施業はできません(というより、そもそも施業などできないと考えた方がいいと思っています)。


 普段は、学校周辺の暖温帯の森林に接する機会が多いので、この授業では冷温帯を中心に樹木を観ることにしました。今回は、高山市荘川町と同清見町の広葉樹林に出かけ、それぞれ1日をかけて、じっくりと見て回りました。


 まずは、成木の姿をしっかり覚えます。葉で同定できるだけでなく、樹形・枝ぶり・樹皮・冬芽の特徴も覚えます。落葉樹は、年間の1/3~1/2の期間、葉を付けていないのですから、落葉期には葉っぱ以外の情報から同定ができなければ困ります。葉が付いているときに、それとセットで多くの情報をインプットしておくことが、後々の役に立ちます。


 歩道脇には、いろいろな樹種の実生がよく見られます。当年生の実生も含めて、稚樹でも同定できることも目指します。図鑑の使い方は一通り知っているので、まずは各自が持参した図鑑で同定してみます。


 この授業では、基本は高木性樹種ですが、低木性樹種も覚えます。 低木性樹種は、その場所の立地特性を指標してくれたりしますし、若い天然生林の施業では、同じようなサイズで生育している高木性樹種と低木性樹種を見分けられなければ、作業ができないからです。


 中には、「あり得ないだろ」という同定をする学生もいて、教員を悩ませます(はずかしいから、具体的には書けません)。でも、繰り返すうちに、だんだんと同定のセンスもよくなってきたように思えます。この2日間は、ほんの入り口。自己研鑽に向けてのヒントは示しました。後は、自己研鑽あるのみ。


 冬に予定している落葉期の授業で、同じ場所を訪れることを考えています。稚樹は雪の中でしょうが、裸の落葉樹をどれだけ同定できるか、冬が楽しみです。



 by 横井秀一