この実習では、野外で樹木を観察し、形態的特徴を覚えながら、種生態学的特性を学びます。
落葉樹は、1年のうち4~5ヶ月ほどは葉を付けていません。葉のない時期はけっこう長いんです。なので、その時期にも樹種の同定ができるということは重要です。ということで、この授業は通年開催にして、落葉期の実習を組み入れました。
今回は、美濃市片知の「ふくべの森」に出かけていきました。積雪を覚悟して出かけましたが、 雪はぜんぜんありませんでした。
モミやツガといった常緑樹針葉樹とイチイガシ・ソヨゴなどの常緑広葉樹は、葉を付けているのですぐわかります(ほんとかな?)。しかし、そこにある樹木の大半は落葉広葉樹。最初は、全くといっていいほど樹種名がわかりません。
でも実は、葉のない樹木は樹形や枝ぶりが観察するのにもってこいです。樹形や枝ぶりを見ると、その樹種の成長特性を知ることができます。それは樹種を同定するヒントになると同時に、その種の生態的特性の理解にもつながります。
また、樹種によっては、樹形・枝ぶり・樹皮・冬芽に同定に使える特徴を有するものがあります。これらは、落葉期であってもすぐに樹種名がわかります。
枝のこぶこぶが特徴のウワミズザクラ |
多くの樹種は、着葉期に観察しています。樹形や枝ぶりのほか、樹皮、冬芽などをよく観察し、樹種名を絞り込んでいきます。積雪がないので、地面にある落葉はこれとないヒントになります。中には、枯れた葉を付けたままの樹木もあります。
葉を付けたままのチドリノキ |
着葉期の実習が9月下旬で、そのときにはどの樹種もすでに冬芽を付けていました。「今、冬芽や樹皮、樹形をちゃんと見ておくように」と言っておいたのですが、なかなかどうして・・・。
それでも、いろんな樹種を観察しているうちにコツがつかめてきたようで、図鑑を使いながら、自分たちで同定できる種も出てきました。
今日覚えた樹種、場所が変わってもわかるでしょうか。樹種を覚え、その種の特性を知るには、繰り返しの観察が大切です。実習で見ることができるのは、わずかな種でしかありません。日々の精進を期待します。
by 横井秀一