ものづくり講座教員の松井です。
ものづくり講座1年生では、入学して間もなく「木育講座の基礎」という授業があります。木育は、食育と対となる言葉です。
「食育」が日本人の安全・健康の危機から生まれた言葉であると私は思っています。それに対し「木育」は日本人の暮らし方が危ない・・・つまり、木と共に暮らして来た日本の木の文化の危機であります。そのことを如何に伝えていくか?木でつくる講座を通して、その伝える基礎を学ぶ授業がありました。平行して、「削り出す形」という授業でスプーンづくりの実習が進んでおり、その学びの成果を試す現場でもあります。以下1年生のレポートです。
この研修に私たちものづくり講座の一年生もスタッフや運営側を学ぶ授業の一環として、参加させて頂きました。
【一日目】
参加者同士の交流を図るため、スタッフも交えた自己紹介から入りました。「名前(なんて呼ばれているか)」「どこから来たのか」「何の木が好きか」この三つのキーワードから話が盛り上がります。そして自分から一番遠い(共通点の少ない)人とペアになって頂き、そこからいよいよ研修スタートです!
まずは抜き打ちテスト!あなたの住んでいる地域の木は何の木?箪笥は何の木で作る?櫛は?などなど。
身近な生活道具であっても意識していなければ何の木で作られているかなんて日常では中々考える機会がありませんよね。私たち学生も、入学当時は知らないことばかりでした。けれど今は木の物を見ると自然と材や構造(作り方)触り心地などを気にするように…少しずつ【ものづくらー】の自覚が出てきたということでしょうか(笑)
木材にはそれぞれ特徴、強みがあります。堅かったり、柔らかかったり、軽かったり、重かったり、水に強かったり、防虫効果があったり。そしてそのことを日本人は昔からよく知っていて、「適材適所」の「材」の字が表すように、それぞれ適した場所に適した材を使ってきました。そんな木と日本人にまつわる話を中心に、午前中は松井先生の木育概論講義でした。
午後からはいよいよスプーンの作成!スプーンと一言に言っても色んなものがあります。どんなスプーンが好みか、何を食べるスプーンを作りたいか、誰の為のスプーンを作りたいか、四角い材からスプーンの形を削り出していくわけですから、話し合ってイメージを膨らませていきます。
スプーン作りの工程は
墨付け(材に下書きすること)→成形加工(糸鋸盤)→匙面成形(彫刻刀)→成形加工(切り出し小刀)→仕上げ(ドレッサー・紙やすりでやすりがけ)→塗装、と進んでいきます。
それぞれの道具のレクチャーは学生が担当しましたが、まだ私たちも本格的に学び始めて日が浅く、「伝えること」の難しさを学ばせて頂きました。
おそらくスプーン作りで一番大変なのが、スプーンの顔とも言える匙面の成形です。匙面は口に入れる大切な部分ですので、妥協は許されません。この日はここまでで作業は終了しました。
夜ご飯は色んなスプーンを使いながら「食」のお勉強です。
どんな形の匙面なら美味しく感じるのか、持ち手の角度はどうか、など、味わいながら地元野菜たっぷりのカレーなどを召し上がって頂きました。