2015年1月16日金曜日

追うもの、追われるもの、モンキードックを考える

獣害対策の切り札か、郡上市のモンキードックの取り組み


 クリエーター科1年生の『野生動物管理概論』、現在狩猟期に入っており現場に出ることが危険
なため、今日は郡上市役所の農務水産課の堀部さんと、林務課の村瀬さんの指導で、郡上市に
おけるモンキードックの取り組みを学びました。


 最初に郡上市の野生鳥獣被害について、堀部さんと村瀬さんから解説を頂きました。
郡上市の昨年の農業被害は約6000万円、被害は水稲が多く、最近ではニホンジカによる
被害が増加してきている。
 

 郡上市はここ10年間で恒久柵12.1kmに6億円、電気柵など簡易柵324mに1.1億円投入している。

 一方、有害捕獲は銃猟免許者が136名、罠猟免許者が158名、25年度の捕獲実績はイノシシ
500頭、サル161頭、シカ722頭。そこで狩猟期間中でもシカはオスジカ5000円、メスジカ10000円
を支給。その効果か?罠免許取得者の増加の影響か、本年度はシカ捕獲数が3000頭に到達
する勢い。

 シカは処理も問題、25年度の有害捕獲シカ722頭は81%が埋設、14%が焼却、5%が自家消費。
一方狩猟捕獲のシカ1019頭は埋設64%、自家消費36%。

 「やまと獣肉利活用協議会」や「猪鹿庁」による取り組みに期待。 シカ肉バーガーも開発。

 利活用には、需要先確保が困難、自然物相手であるため安定供給できない。家畜が基準で
あるため安価になりやすい。などの問題がある。

 続いて、生活する上での厄介な野生鳥獣、ニホンザルに対するモンキードックの取り組み。
モンキードックとは、「野生のニホンザルを追い払うように訓練を受けた犬」で、長野県大町市の
クロという犬が日本のモンキードック第一号。
 平成19年に動物愛護管理法に基づき、適正なしつけや訓練が行われている場合で、野生鳥獣
の追い払いなどに限り、犬の放し飼いが解禁。


 現在25都道府県77市町村で371頭のモンキードックが活躍。郡上市は平成22年に調査研究を
開始して、市の助成で平成23~25年までで合計7頭のモンキードックを養成。

 地域全体で獣害対策に取り組む団体を対象に、若くて健康な犬の存在、地域として活動できる
体制が整っているかなどで判断して、助成事業を展開。一頭につき約60万円をかけて、安曇野
ドックスクール(磯本所長)で半年間訓練する。 飼い主も毎月一回は犬と一緒に山をかけずり回
る訓練を受ける。


 モンキードックには専用のベストをつけて、野犬でないこと目視できるようにする。ベストは
ブッシュなどで引っかかってもすぐに破損するようなつくりとなっている。

 松本市などでは、モンキードックが一斉に介して継続訓練も実施されている。


 今日は八幡町市島の坪井さん所有のモンキードック「モモ」ちゃんが来てくれました。
紀州犬の血を引くモモちゃんは、人間には優しく対応します。

 最近はシカを追うことが多いそうですが、シカはすぐに犬小屋の上にまで来るほど、鈍感との
ことでした。この点はニホンザルのような神経はなく、意外にシカは神経が図太いのかも?

  郡上市役所の堀部さん、村瀬さん、市島の坪井さん、本日は有り難うございました。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。