アカデミーのクリエーター科(1年生)には4つの講座があり、それぞれで専門の
授業が展開されていますが、教材が互いに関連するときには合同で授業を行う
ことがあります。先日、紅葉深まる郡上市白鳥町の広葉樹林で、「林業再生講座」
の『多様な森林施業』と「ものづくり講座」の『広葉樹の材料学』との合同授業が
行われました。
広葉樹材は、「ものづくり講座」にとって、なくてはならない素材です。「林業再生講座」
では針葉樹人工林の取り扱いについて学ぶことが多いのですが、広葉樹林も重要な
森林の一つであり、その取り扱いについてもきちんと知っておく必要があります。
今回の授業では、林齢約80年の落葉広葉樹林の取り扱い方について考えました。
テーマは、“広葉樹林を使いながら育てるには、どういう間伐(選木)をすればよいか”
です。使う側からの“利用できる広葉樹を収穫する”という視点と、育てる側からの
“将来の経済性を高くする”という視点とで、間伐を考えてみようという授業です。
まずは、樹種がわからなくては話になりません。どんな樹種があるのかを見て回ります。
樹種の見分け方、材の特徴と用途などを学びます。
これはコシアブラ。すでに葉はみんな落ちてしまっていましたが、樹皮や樹形、周りに落ちている
葉などから、同定することができます。
これは、アオハダです。短枝が特徴的です。短枝と長枝の役割についても考えます。この
材は、色が極めて白いので、それを活かした使い方があることも学びました。
昨年に間伐した場所で、樹冠投影図を見ながら、間伐によって林冠がどのように変化した
のかを確認します。これにより、1本の木を伐ることでどのような変化が起こるのかがイメージ
できました。
選木の実習に入りました。将来にわたって育てる木、そのために間伐するとよい木、
利用するために択伐的に間伐したい木を選び、それぞれ違った色のテープで印を付けて
いきます。
選木は、幹だけを見ていてもできません。上を見上げ、樹冠がどのようになっているのか、
その木の樹冠の広がりとか、どの木の樹冠が競合しているのかを観察することが大切です。
互いに選木結果を披露し、意見交換をします。人の疑問や意見を聞くことで、見方を深める
ことができました。
心地よい秋空のもと、学生たちにとっては、違う講座の学生と一緒に学ぶことで、単独の
授業では得られない多くのことを学べた一日になったことでしょう。
by 横井