コミュニケーションツール研究会「展示室におけるコミュニケーションと学び」に参加してきました。
アカデミーでは、自然体験フィールドを中心とした「伝える人」を育てる授業を展開していますが、ビ
ジターセンターや博物館などで「展示と人を結ぶ」活動や仕事も増えてきています。今回は、そんな
現場で働く全国のエデュケーター(学びの場をつくる人)との交流や、最新の「教育・学習理論」など、
ふだんアカデミーでは聞けない講義を聞き、現場の実践にふれる良い機会となりました。
��開催趣旨>
博物館の事業には「資料整備、展示、研究調査」と並んで「教育学習」があり、博物館は学びの場
であるという認識が博物館関係者だけでなく市民の中にも広まってきた。そして多くの博物館で従来
の教育事業に加えて、教育プログラムの開発や展示室内での学びを目的としたワークシート開発
などの実践が試みられている。また、平成24年度から博物館教育論が学芸員養成課程の必須科目
となり、改めて博物館における学びとはなにか、また博物館はどのように学びを支援していけるのか
ということを問い直し整理する必要があるといえる。
そこで今回の研究会では、博物館教育に関する理論を確認するとともに、展示場で利用する補助ツ
ールやワークシートなどの事例をもとに議論を進めていきたい。 2日間にわたる研究会では講演の
ほか、さまざまな館から展示場で利用するツールやワークシートなどを持ち寄って議論を深め、グル
ープワークショップを通して、共に学びあう機会としたい。
��プログラム>
10:00~10:30 趣旨説明と問題提起
10:30~11:30 並木美砂子(千葉市動物公園飼育課主査)
「博物館教育を支える‘教育論・学習論’-欧米の理論研究からの示唆-」
11:30~12:30 黒岩啓子(琵琶湖博物館特別研究員、Learning Innovation Network代表)
「ファミリーグループの展示観覧体験を支援する見学補助ツール」
12:30~13:30 昼食休憩
13:30~15:30 ツールの展示・見学・意見交換
15:30~16:30 布谷知夫(琵琶湖博物館特別研究員・名誉学芸員、三重県立博物館館長)
「博物館で起こる学びの性格とコミュニケーション」
��参加した学生の感想>
普段は人を介して行うインタープリテーションを中心に行っていますが、今回は主に展示や補助ツール
を用いたノンパーソナルなインタープリテーション。相手の表情や声を聞きながら説明をする事ができ
ないので、皆様々な工夫を凝らしての展示補助ツールを作っていました。
・子供が遊びながら弥生時代の服装や使っていた道具を知ることができる『ままごとセット』
・来館者が展示のお気に入りを人に紹介するワークシート『これがおすすめ!』
・数ある展示の中で、クジで形式で自分が選んだ○○をじっくり観察できるように促す『守りがみ』
など、県内県外様々な博物館の展示補助ツールを紹介していただき【来館者へ向けてのメッセージ】
【対象年齢】【来館者は何を求めているのか】によって、様々な伝え方があるのだと改めて感じる事
ができました。 (環境教育・インタープリテーション研究会 新津 裕)
実際に博物館で使われている、コミュニケーションツールの実例をたくさん見られて、すごく刺激に
なりました。全くのノンパーソナルなものから、解説が多少なり必要なものまでさまざまでしたが、
自然体験やビジターセンターでも応用できる!と思えるものがたくさんありましたので、使えるチャン
スのために、ネタとしてストックしておきます。(環境教育・インタープリテーション研究会 西岡里子)
��追記>
私が博物館教育に関心を持ちはじめてから15年、今回のセミナー講師の3氏は、その間に勉強会や
実践のお仕事でお世話になってきた方々です。博物館教育はまだ小さな専門分野ではありますが、
その最先端を走る3氏のお話からは、インタープリテーションや地域づくりワークショップの場面にも通
じるたくさんの刺激を戴きました。ありがとうございました。(山村づくり講座教員 嵯峨創平)