このスギが今回の大物、根元直径は90cm越え、多分、森林文化アカデミーの学生で学生時代にこれほど大きなものを伐採したものは誰もいないだろう。
エンジニア科2年生の下野君は「チェンソー操作がうまくなりたい」。その一心でチェンソー操作になれることを目指して、郡上市白鳥町の平野守さんに師事しして少しずつなれてきました。
そこで今回は、森林文化アカデミーの非常勤講師でもある山県市片原の江崎林業(江崎尚史)さんが伐採しておられるスギの伐採現場に出かけ、許可を得て大径木の伐採を指導して頂きました。
休日の山ですが、最初は体調チェック、服装チェック、準備体操、そして機械の試運転。そして今日の作業手順を、江崎さん下野君、ジリの3人で打ち合わせ。
ここは桐山製材さんの山で、板材で有名な「美山スギ板」の乾燥させる場所をつくための伐採で、もちろん伐採したスギはすべて製材するとのことです。
◆最初の挑戦は根元直径60cmのスギを一人で伐採。
しかし、これでさえ相当な大物、樹高も25mはある。・・・心配!
見るに見かねた江崎さんが、最初にチェンソーの歯の入れ方を指導し、ところどころアドバイスしてくださいました。最初は受け口づくりです。
次は、追い口です。このチェンソーは江崎さんんが目立てをしてくださったものなので、歯の食い込みが良い。今風に言えば「やばい」。勝手に切削していってくれます。
江崎さんは少し離れたところから、不備がないかを確認しながら、下野君の手さばきを眺めています。
追い口を切り終えて、江崎さんからOKのサインをもらったので、こんどは「楔打ち」です、楔は山では「矢」と呼んでいます。
江崎さんが「大きな矢2つ、手前には小さな矢一つ」と言うので、指示通りに黄色い矢を追い口に、斧で打ち込みます。
何度か矢を打つと「ミシッ、ミシッ」と繊維が切れる音、そして梢が傾くのを感じました。
一斉に、笛を鳴らして、待避です。
下野君も倒れる姿を見ることもなく、一目散に待避しました。
まさしく、伐倒して「倒れる」その課程そのもの。
切り株を見るとわかりますが、ツルは2カ所です。 受け口側から突っ込み切りしてあるのがよくわかります。これは心材が抜けないための処理です。またツルの効き方が、斜面上側(「写真上側)と下側で相当違うことがわかります。・・・あなたは、この違いがわかりますか。
伐採したスギの根元についている「サルカ」を切り落とします。そして最後の頭巾仕立てをします。
丁寧な仕事は川下で喜ばれます。
チェンソーで元口部分をきれいに切り直して、「化粧」するのが昔からの伐採のしきたりです。
今回は、第一弾です。 次回は、最初に見せた大径木を伐採します。
下働きのジリも疲れましたわ!
以上、川尻秀樹からの報告でした。