森づくり実習で冬の間に傾いてしまったヒノキ植栽木を起こしに行きました。
現場は関市洞戸のヒノキ人工林。 ヒモのかけ方、縛り方、枝の位置など基本的なポイントを
現場で演習した後、早速実習です。
まずは競合する有用とは言えない広葉樹とネザサを刈り取って、ヒノキを起こします。
斜度が30~40度ある斜面のヒノキを一本一本確認し、起こしていきます。
幸いにもこの現場はニホンジカによる食害が見られません。
しかし、ここで問題発生です。
(1)学生が植栽されたヒノキと天然更新したヒノキの見極めができない。
(2)傾いたヒノキがあればどれも手を掛けて起こそうとする。
上の写真のヒノキは傾いたものを、起こしていますが写真で見るように幹が白くなっています。
つまりこの幹は樹皮が剥がれているのです。
学生にはこう声を掛けました。
「その植栽木は樹皮が地上2m付近まで剥がれている。その木はそのまま50年以上成長
したとしても、将来、最も材積を稼げる部分がパルプ材にしかならない。また、それほど
樹皮が剥がれていれば、今後の成長もあまり望めない。
この作業も林業の一環であれば、投資効果のないものに労力を掛けるのは意味の
ある行為かどうかを考えなさい。」
「やれば良いのではなく、何をなすべきかを自分自身で考えて欲しい」そう思いました。
さて、現場の上には送電線の鉄塔があり、そこのヒノキが断幹(TOPPING)されていました。
学生にどうして幹が切られれているのか。 林業から見ればナンセンスな行為でないか。
様々尋ねてみました。
高圧線の線下芯止めについて知らない学生もおり、これで立木補償が支払われることも
知りませんでした。・・・・そうなんだ!
もっと驚いたのは、昨年の1年生(現在の2年生)が残していった「ぶり縄」がヒノキの幹に
くくりつけられたままになっていました。
なっ、なんと。 確認が甘かった学校側にも問題がありますが、まったく困ったものです。
引率教員一同、反省の一日となったのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。