2013年5月22日水曜日

森林GISを学ぶ 「林業 I T」 演習林の測量による実践

 エンジニア科2年生の 「林業 IT」 、森林GISのより実践的な
応用の第一歩として、演習林の林分調査データの反映を実施。


 今回が第三回目となる「林業 I T 」、おなじみ岐阜県森林組合連合会顧問の中島義雄さんをメイ
ンに、JIRIがサポートしながらの実践講座です。

     朝から夕方まで、森林GISにどっぷりつかります。

 今回の目標は
   GISで基盤となる図面を作成し、そこに実測データを当てはめ、森林資源を把握する。


 まず最初に、昔は下の写真のように紙に印刷した森林基本図を用いますが、この図を航空写真
と合体させると、より使いやすいデータになります。古い地図では小班界が示されているだけです。




 今回は森林文化アカデミーの演習林の測量や林分調査もしますが、その前に現地の情報収集と
上記白地図の合体です。

 下の写真で、森林文化アカデミーの校舎は左上にあります。右上は水域を青色表示させた毛鹿
洞池です。
 演習林はオレンジ色で囲まれた部分。演習林の樹種なども表示させてみました。

 


 次ぎに、演習林の林分を針葉樹林や広葉樹林などに分けて表示させてみました。
GISではデータさえ入れておけば、その属性データを確認しながら簡単に表示させたいデータを
画面上で確認することができます。


 次ぎに、演習林の林を齢級別に、特に13齢級以上を明確に表示させます。
   操作は、レイヤプロパティ → フィルタ設定 で濃い茶色表示させました。




 13齢級のところだけを抜き出して、別の色で表示させました。
今回はこの部分のうち「ニ - 8 小班」を現地測量することとしました。 



 現地に向かう前にベクトルデータと写真との融合のためのジオリファレンスの練習です。

 下の写真ではベクトルデータ(灰色の大きな地図)は、画像データ(赤っぽい地図)と大きさも、
配置も大きくずれています。
 これをジオリファレンスで一致させます。最初にベクトルデータの一極点をクリックして、画像デ
ータの同一ポイントをクリックして合わせていきます。





 今回は3ヵ所または4ヵ所のコントロールポイント調整で、下の写真のようにジオリファレンスを
完了したのです。



 さて、演習林での足労も楽ではありません。

 今回の最大の難所、垂直に切り立った林小班界を測量です。
レーザーコンパスを覗いているのは女性の神谷さん。その横でポイントアドバイスされる中島
先生。

 レーザーコンパスは森林フィルターを装着すれば、樹木の隙間をレーザーが飛んでいって反射
板との距離を測定できる優れものです。
 



 ニ - 8 小班は約 1.4haの大きさがあります。その周囲をすべて測量です。

 測量が終了したら、ラインプロットにより林分調査です。

 これはレーザーコンパスで斜面上下を水平距離25mとり、そのライン上から2mのポールを左右
に振って、4m幅の立木を調査すれば自動的に100m2の林分調査となります。

 対象立木は胸高直径、樹高を測定です。樹高測定はレーザーコンバスのモードを樹高測定モー
ドに変更して測定します。





 測量終了後、情報処理室のコンピュータで測量結果の表示です。

 今回は 面積 1.34ha、 精度 1/1,194でした。なかなかの高精度。



 この測量データをシェープファイル出力して、最初のデータに貼り付けます。

 下の写真で灰色になっている部分が今回の測量部分ですが、この当てはめのためには、
平面直角座標系、XY座標系が十分理解できている必要があります。



 さて、今日の最後です。学生のほとんどがここまでこぎ着けましたが、林分測定データを反映
させるまでに至りませんでした。



 次回最終回は、この図面に林分データを組み込んで、使えるGISに仕上げるのが課題です。

 今回はコンピュータ処理と演習林での林分測定、朝から夕方まで暑い中での実習でしたが、
中島先生有り難う御座いました。

 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。