『中原林業に見る森林経営と施業方針』
施業プランナー技術維持研修 第一回目
ハイ、みなさん、森林文化アカデミーのJIRIです。
平成25年度 施業プランナー技術維持研修の第一回目、今年も技術維持研修は(社)岐阜県
林業経営者協会会長で、中原林業の代表取締役である中原丈夫さんの森林経営を学ぶため、
山県市で研修を開催しました。
この技術維持研修は、昨年までに施業プランナーの基礎研修や育成研修を受講した方が対象
で、3年に一回程度の継続研修のとしての位置づけで、施業プランナーとしての経営マインドの
再確認や最新の情報を提供する研修で、今回は岐阜県下から11名の受講者が参加しています。
今回の研修は最初に、森林文化アカデミー横井さんから「将来を見据えた森林施業」についての
講義、そして中原さんから「中原林業の経営理念と方針」、そして現地での「森林経営と施業方針
の決定」という内容です。
最初に横井さんから、今日の研修の位置づけ
「自らが気づき・考えることで」 → 「行動・態度の変容」
研修の目的は4つ
1.知識・情報の習得 2.技術・スキルの習得 3.問題解決能力の向上 4.行動・態度の変容
などなど、再確認項目から、目標林型、森林経営のデザインとプランナーに至るまで、
途中、横井さんが研修生に、「森林の機能(目的)別の目標は何か?」 を問いかけ、各々で
水土保全、生物多様性の保全、保健文化機能の維持、について考えて、発表しました。
実は「林分の発達段階と各種機能の変化」を見ると、写真のようになるとの説明も意味深い。
樹冠長と胸高直径の関係や、樹冠幅と胸高直径の関係、これって収穫できる材積に直接関係
する項目ですよね!
・・・・・・・つまり、簡単に「長伐期」というが、
高齢林において成長が持続する個体はどんな個体なのか
さて、後半戦は中原林業での研修です。
280年つづく林業家、中原林業へは国の政策にかかわる方々やドイツフォレスターなど、様々な
分野のトップレベルの方々が勉強に訪れています。
「山は倉庫だ!」と言われる中原さんは、
1.ゆるぎない施業体系
2.高能率な生産ライン
3.高密度な作業道 を特徴として、約90年生で主伐を迎える、災害に強い健全な森林
づくりをされています。
現場、現場で、この山をどう育てるため、どのように山に手を入れて、結果どうなるのか?
現物を見せながらの話は説得力満点!
特殊注文材に対する対応が約5%、注文材に対する対応が25%で合計30%が、他の70%に匹敵
する収益を上げていることや、林分のクォリティやインフラ整備、熟練技術者、Just in Timeなど
中原林業の企業秘密的なことまで、惜しげもなくバンバン公開。 さすが・・・・・! の一言。
6mまでの枝打ちも、なぜ早期に枝打ちするのか、雪の問題やボタン材の問題など、具体的な
事例を挙げて、しかも面白いたとえをされながら解説して下さいって、本当に判りやすい。
谷を挟んで枝打ち量が違うことで、こんなにも林分が違って見えるのかという比較も見せて下さ
いました。
ヒノキとスギに対する間伐率の違いや、樹高に対する枝打ち量の違い、それぞれについて納得
のいく説明と技術、実績の積み上げ。
また作業道は長伐期優良材生産するためのインフラ整備であり、30年後への投資である。
大径の優良材を効率的、安定的、計画的に搬出するために考えるべきもの。
それに加えて、今後は大径木の高度な伐倒技術を有するチェンソーマンの育成が重要とも
述べられました。
最後に、中原林業の家訓の一つに「成長量の半分以上伐るな」というものがあるともお話しさ
れました。
だてに、280年もの間、林業経営一筋に生きてこられたわけではない。今回の研修も、本当に
実入りの多いものでした。中原さん、横井さん、みなさん有り難う御座いました。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。