10月18日(土)、生涯学習連続講座で「身近な森の手入れ(広葉樹編)」が開講されました。
まずは、森林文化アカデミー内のテクニカルA棟に集合です。
ガイダンスの後、森林文化アカデミーの横井教授より、スライドを使った講義を受けました。
手入れの目的を明確にすること。目的を達成するためには、目標を立て、正しい方法を選ぶ必要があること。それらを充分検討をしたのちに、手入れを行うことが重要とのこと。
その認識を持たずにおこなう手入れは、人にとっても森や環境にとっても、意味が無かったり、かえって悪い結果を招くこともあるので、特に広葉樹は種類が多く、用途や目的も多岐にわたるため、しっかり学んでほしい、というメッセージがありました。
実際の森に入って作業を体験してもらうので、作業着姿も勇ましく、ヘルメットやのこぎり等の装備も身に付けて、いざ出発です。
移動中にいろいろな説明を受けながら、目的のフィールドに到着です。
まず初めに、実習森林に生えている代表的な樹木について、その見分け方と特徴を教えてもらいました。それらの中で、この森が最終的に到達するであろう、自然本来の姿を想像します。その森は気候や地形によって変化しますが、代表的な樹木は絞られています。
美濃市周辺の森林は、標高が低いところは暖温帯ですのでシイ・カシ類が優勢な森林になります。標高が高くなるとコナラやクリなどの落葉広葉樹が優勢になってきます。ただし、現在の植生は人為の影響を強く受けており、本来なら常緑広葉樹林になるような場所でも、コナラやアベマキが優占する森林が多く存在します。実習森林の植生は、両者が混在していました。
午前中の講義で学んだとおり、今回のテーマである広葉樹の手入れを行う上で大切なのは、何を目的とし、それを実現するための目標と近づくための方法を選び、効果的に実施するというプロセスを認識することです。ともすると、やっている作業と、目指す森の姿が矛盾している活動例も見受けられるため、そこは認識を改めてほしいところです。
実はこのエリアの中で、二年前、「景観を良くする」という目的のために中低木を伐採した場所がありました。 確かにその時点では、見通しがよい明るい森の手入れができました。
しかし、2年後の森の姿といえば、林床には笹が繁茂し、伐採された中低木の萌芽枝もかなり伸びて、以前より景観が悪くなっていました。その講座に参加された方がおられ、こんなに早く森の姿が変わってしまうことに、驚かれていました。
森の手入れの難しさと、自然の復元力の強さを感じました。
今回は、仮の目的として、春に新芽が食べられる「コシアブラ」という広葉樹を育てるための森の手入れに挑戦しました。
コシアブラは明るい環境を好むため、人が光の争奪戦に加担して、競争相手を取り除いてやる必要があります。
今回の場合は、周囲に生えているクリ、コナラ、リョウブが除去対象木となりました。
違う目的であれば、コシアブラが切られることになったかもしれません。
のこぎりとロープを使って、安全に確実に伐り倒します。
作業後の環境変化を確認します。
最後に振り返りと質問を受け、終了しました。
文責 「近な森の手入れ」講座主任 原島幹典