2012年6月29日金曜日

施業プランナー 上級研修 第二回目

 岐阜県が平成20年度から実施してきた施業プランナー研修受講者63人のうち、特に地域の施業プランナーを束ねて、民間のフォレスター的な活動が出来る人材を育成しようと本年度から開催している上級研修。この研修の第二回目が開催されました。

 今回は日本体験学習研究所林芳孝先生をお招きして、「コミュニケーション講座」を実施しました。

 今回の流れは、(1)体験学習の循環過程、(2)コンテントとプロセス、(3)流れ星、(4)コミュニケーション・プロセス、(5)実習「たずね・こたえ・観察する」です。

 誰しもそうなのですが、普段はなかなか自分の仕事ぶりや自分自身を振り返る余裕もありません。今回はコミュニケーション講座を通して、施業プランナーとしての自分を振り返り、新しい考え方や新しい自分に気づき、他者との関係の中で起こるプロセスに気づくことが重要なのです。
 一見、林業とはまったく関係無いように思われがちな分野ですが、こうした考えが林業には最も欠落している部分でもあります。


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 最初に「体験学習の循環過程」では(1)体験、(2)指摘、(3)分析、(4)仮説化の循環過程について、続いてコンテント(無いよう、課題、問題、仕事、作業、結果)とプロセス(関係的過程)について、林先生が小講義をされました。
 「コンテントとプロセス
 コンテントとは対人間コミュニケーションにおける話題やチーム活動における課題をさします。これらはいわば結果です。
 一方、その話題や課題について話し合っている際に、一人ひとりの内で起こっている気持ちや考え、また互いの間やグループの中で起こっているかかわりのありようなどがプロセス(関係的過程)です。人間関係における学習者自らの行動や態度に変化が生まれ成長するためには、このプロセスを吟味することが大切です。プロセスに気づき、プロセスから学ぶことが重要なのです。

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 演習では「施業プランナーに必要なこと」と題して、以下の何が重要な項目かを各自が考え、その後にグループ討議、グループ発表です。
 項目は、(1)交渉力、(2)誠実さ、(3)プレゼン力、(4)傾聴力、(5)知識、(6)理念の理解、(7)自信 の7項目です。

 林先生は「正解はあリません。施業プランナーとして必要と考える順に順位付けして、その理由も考えて下さい。」と言われました。

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 研修受講者の傾向として、誠実さ、傾聴力を重要視する人が多く、プレゼン力や自信は重要視されないことが判りました。 

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 グループで話し合いますが、各々が自分の主張は言うものの、実際には他の人の話を聞く姿勢(傾聴力)に欠けるグループ討議となってしまいました。

 続いて、「ふりかえり」です。施業プランナーに必要なことに関するふりかえり用紙に、自分の気持ちを伝えられたか。仲間の意見を聞けたか。役割分担などグループ内でのコミュニケーションがとれたか。
他のメンバーの言動で影響を受けたことはあるか。などを記入します。


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 午後からは、最初は「流れ星」。
これは林先生が語る言葉を絵にするものです。白紙を一枚渡されて、そこに語られる内容を絵として描くのです。
 「流れ星が右上から左下に流れました。星の下には藁葺き屋根の家が一軒、家の前には大きな池があり、そこには船が一艘あります。家の横には犬小屋があり、一匹の犬がほえています。家の裏側には大きな木があり、その上には三日月がかかっています。空には雁が3羽飛んでいます。」

 この内容を絵にしますが、各自の絵が全く異なった構図になっています。三日月の書き方も違います。


 ここでコミュニケーション・プロセスについて小講義を受けます。

 発信者は言語を使い、記号化して送信し、それを受信者は自分の辞書に従って解読します。
 ここがポイントです。私たちの情報発信は日頃、私たちが意図するように受信者に受け取られているのでしょうか。・・・・・疑問が残る。

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 最後に、実習「たずね・こたえ・観察する」です。
ここでは、3人一組になって、A(たずねる人)、B(こたえる人)、C(観察する人)に分けて作業を3回繰り返します。


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 この実習を通して、「はなすこと」の難しさ。「きくこと」の「難しさ。「観察する」ポイントなどを学びます。
うまいアナウンサーは話さないアナウンサーであって、相手が話したくなる場作りをする。トップ営業マンは売らない営業マンで、顧客が買いたくなる場作りをする。

 いかに相手の気持ちを汲めるか。相手に寄り添えるか。信頼されることの重要性。
何につけて、「受け入れる。聞く(聴く)、安心感・信頼感が重要。」ということを学んだ研修だったのです。

 今回も受講生の皆さん、講義して下さった林芳孝先生、そして研修に良きアドバイスを下さった南山大学の津村俊充先生に感謝します。有り難う御座いました。

 そしてともに「良い山づくり」に尽力して行きましょう。 以上、ジリこと川尻秀樹の報告でした。