「森林公共政策」 が授業設定され、その第三回講座を実施しました。
今回の講師は岐阜県庁林政部森林整備課の寺田 整備係長さん、古沢 森林組合・担い手係長
さん、治山課の武藤 森林管理係長さん、高木 治山係長さんの4人です。
日本の森林管理、整備を進める基本は、明治時代の治水三法から始まります(詳しくは後半で)。
1コマ目は、森林整備課の整備係の寺田さんからです。
寺田さんからは「森林整備施策の方向性・進め方と補助金制度の概要」とい内容でお話して
頂きました。
岐阜県の森林づくりの基本理念である
「揺るぎない長期的展望と県民協働による持続可能な森林づくり」に基づく、整備施策に
ついて説明され、重点施策である ①環境を重視した「恵みの森林づくり」
②林業活動を中心とした「生きた森林づくり」について
また、森林経営計画にからむ補助金行政、森林整備加速化事業や、清流の国ぎふ森林・環境
基金事業の現状についてお話しして下さいました。
学生からは補助金にかかる質問も飛び出すほど、興味深気でした。
2人目は森林組合・担い手係の古沢さんです。
岐阜県の森林技術者数や新規就労者数、認定事業体などの年間事業量、岐阜県の担い手
担い手対策事業などについて説明して頂きました。
また4つの人材の位置づけとして、フォレスター、施業プランナー、作業道作設オペレーター、
フォレストワーカーなどについて説明を受けました。
2コマ目は、治山課森林管理係の武藤さんからです。
日本の山地と森林が最も荒廃した明治中期に「治水三法」が制定された。
治水三法とは
①河川法(明治29年:1896年)
②砂防法(明治30年:1897年)
③森林法(明治30年:1897年) を言います。
特に、森林に関しての内容は「森林法」が基本となっており、ここに保安林や治山などについて
記されています。
日本の森林の48%が保安林(17種類)に指定されており、17種類の中でも①水源かん養保安林
が最も多く、次いで②土砂流出防備保安林が多く、この2つで全保安林の97%近くを占めていま
す。
また岐阜県は海のない内陸地ですが、「魚つき保安林」があり、中濃では関市に指定されてい
る。
また、森林管理係では 林地開発 も担当しており、県知事の許可によって林地開発手続きが
実施される。
岐阜県内を見ると、単なる宅地造成だけでなく、高速道路や鉄道関係でも林地開発許可が必要
となり、当面の大きな林地開発はリニア新幹線の路線開設に伴う残土処理(約200万m3)がある。
最後に、治山係の高木さん
「土砂動態」という映像を拝見させて頂き、学生も土石流や深層崩壊の恐ろしさに度肝を抜かれ
ました。
長野県の木曽川水系での土石流映像は本当に迫力があります。
こちらは、岐阜県揖斐川町の深層崩壊現場の映像です。
夜のうちに下の写真のような崩壊が発生し、
翌朝には、もっと大きな崩壊を発生させました。
こうした崩壊が起きれば、森林が針葉樹だとか、広葉樹だとかは関係ありません。
こちらもテレビなどで何度も放送された、奈良県の深層崩壊映像の一部です。
治山事業とは、山地の荒廃を未然に防止したり、荒廃した山地を復旧する事業です。
このため森林の維持造成を通して山地に起因する災害から国民の生命・財産を保全するもので
あり、また水源かん養、生活環境の保全等を図る重要な国土保全政策の一つでもあるのです。
今回もお忙しい県庁業務の中、森林文化アカデミーの学生に講義して下さったみなさま、
「ありがとうございました」
学生たちも、岐阜県が実施している施策の一部にふれられて、本当に勉強
になったと思います。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。